隣の席の佐竹くんには…
「ストレートに一緒に周ろうって誘っても、ミャーちゃん断るでしょ?」

「それは…」

否定はできない。

「今日だけでいいからさ!お願い、オレといてほしい」

「でも、私…」

「わかってる。ミャーちゃんに好きなヤツがいるってことは」

「えっ…」

テルにバレてたの…!?
最近、図太く行動してたから?

感情が読み取れない人間っていうのが売りだったのに…。

武装が外れたみたいで、恥ずかしくなってきた。

「それでもいいから、一緒にいてほしい」

そう言って、テルはギュッと手のひらを合わせる力を強める。

「…テル、ごめんね。気持ちに応えられないのに、それはできないよ」

「オレがそれでも良いって言ってるのに?」

「…うん」

「そっかぁ…」

テルは、合わせていた手を解き、はぁー…と長いため息をついてうなだれる。

その仕草に申し訳ない気持ちになったけど、

「本当に、ごめんなさい…」

中途半端な態度は取るべきじゃない。


少しして、その呟きに応えるように、テルは緩慢に顔を上げる。

「…じゃあ、一つだけオレのわがまま聞いてくれない?」

「な、なに…?」

不敵な笑みを浮かべるテルに、思わず足が一歩下がった。

「オレとキスしてよ」

…えっ?

「…それは、できないよ」

「このままだとオレ…ミャーちゃんのこと諦めきれない。してくれたら、諦めるから」

「……できない」

テルって、こんなこと言う人だっけ?

いつものおちゃらけた空気感をまとってないテルに違和感を覚えるものの、突然モンスター化してしまった彼に、少し怖くなる。

「じゃあ、それが無理なら…せめてこのまま一緒にいてよ」


「……わかったよ」


受け入れるしか方法が見つからずそう答えると、テルはいつものようにヘラッとした笑みに戻った。
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