隣の席の佐竹くんには…

第25章 解く心

♦︎佐竹side♦︎



裏庭に着くと、リナちゃんがベンチに座って待っていた。

文化祭の喧騒が嘘みたいに静かだった。

遠くから聞こえる笑い声が、やけに現実感をなくしていく。

「待たせてごめん」

「ううん。大丈夫」

ぎこちない沈黙が流れて、向かい合ったまま、しばらく言葉が出なかった。

何から言えばいいのか、わからない。


……いや、違う。
言いたかったことは、あの時からずっと変わらず、ここにある。


喉の奥で、それが引っかかっているだけだ。

深く頭を下げた。

「…あの時、酷いこと言ってごめん」

心の中で、何度も繰り返した言葉。

今さら謝ったところで、何も変わらない。

あの時のことも、あの後の時間も、全部そのままだ。

たった一言で、なかったことにできるほど、軽い出来事じゃない。

許してもらえるとも思っていない。

…思ってはいけない、と思っている。

許されるためじゃない。

過去を変えるためでもない。

ただ、自分が——

あの時、ちゃんと向き合わなかったことから、逃げないために。

「……リナちゃんの話、ちゃんと聞けなかったこと、ずっと後悔してた」

言葉を探すように、ゆっくりと続ける。

「自分のことでいっぱいいっぱいで……リナちゃんのこと、ちゃんと見られていなくて…傷つけた」

胸の奥が、じわっと痛む。

「それだけは、ちゃんと謝りたかった」


最後の言葉は、少しだけ震えてしまった。


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