隣の席の佐竹くんには…
「…ホントに?」

「ホントだよ」

「同情じゃなくて?」

「なんで同情?しないよ。…ずっと佐竹君のこと意識してたよ」

何度も確認してくる佐竹君に、思わず笑ってしまった。

佐竹君の表情がぱっと明るくなる。

こんなに分かりやすい表情、初めて見たかもしれない。

佐竹君は、赤く染まった頬を手の甲で隠す。

「……どうしよう……嬉しい」

噛み締めるようなその声に、体の奥がジワッと熱くなった。

(私の言葉でこんなに喜んでくれるなんて…)

「私も…」

想いが通じ合ったことよりも、ただ、それだけのことがすごく嬉しく思ってしまった。


少しの沈黙。


そのあとで…


「…梅沢さんの笑った顔、やっぱ好きだな。笑ってないときも好きだけど」

「訳すと無表情で冷徹な女でも、時々見せる解凍された顔も良いなってことかな?」

「そこまで酷くは言ってないけど…」

「ふはっ!」と、二人同時に笑いを吹き出した。

図書室の静けさの中、笑い声が混ざり合って響く。


…ずっと、消えなかった気持ち。

諦めなくて良かった。

しぶとく抱え続けてきて、本当に良かった。


図書室の窓から差し込む光が、二人の間を柔らかく照らしていた。

文化祭の喧騒が、まだ遠くで続いている。

でも、今だけは、この静かな場所と、この時間だけが、世界の全部のように感じられた。

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