隣の席の佐竹くんには…
サアッと冷たい風が吹き、思わず体をブルッと震わせる。
11月の夕方の風は、温度というより、空気そのものが変わったように感じた。
「寒くなったね」
自分の口元に手のひらを当てながら呟くと、不意に佐竹君が私の手を包み込んできたかと思ったら、そのまま手を奪われた。
途端、体が一気に熱を帯び始める。
この人、さりげなく手繋いできたよ。
心の準備も整わないままに、動きがドギマギしてしまう。
「梅沢さんの手、冷たい」
「…佐竹君の手も、冷たいよ」
そう言って、赤くなっているであろう顔を向けると、佐竹君はヘニャリと笑った。
もう、その笑顔は反則だって。
(わー、もう、可愛いすぎるー!)
心の中で、佐竹君の禁句である単語を、申し訳なく思いながら叫ぶ。
「なにか温かいもの飲まない?」
まだ帰りたくなかったから、佐竹君の提案に頷いた。