隣の席の佐竹くんには…
☆ライトside☆


…——小学校時代のある日の放課後。

いつものように佐竹と帰っていると、小さな児童公園で女子三人組がかたまっている姿に目が止まった。

別に聞き耳を立てていたわけじゃないけど、あまりにも三人が盛り上がっていたから、会話が断片的に聞こえてしまう。

『ねぇねぇ。最近の響君さー…』

自分の名前が出てドキッとした。

思わず物陰に隠れると、つられるようにして佐竹も同じ行動をとる。

女子を見ると、同学年の別のクラスの女子だった。

『なんか良いよね』
『わかるー!カッコよくなったー』
『強くなった感じとかね』

ほ、褒められてる…。

マジか…

キャーキャーと話す女子たちに、気恥ずかしさを感じていると、佐竹が「やったじゃん」と、イタズラっぽい笑みを向けてきた。

見た目を変えたところで、結局中身は変わってない。

時々、そのことにモヤモヤすることもあったけど、思い切って行動してみて良かったと思えた。

公園の前を通り過ぎることができず、出るタイミングを失っていると、

『佐竹君はー…』

今度は佐竹の名前が聞こえる。

『カッコいいっていうより、可愛い系じゃない?』
『あ、わかるかも』

…んんん?
カワイイ…?

そう思ったことは一度たりともないけど、女子からはそう見えるのか?

『リナはどう思ってるの?』
『最近、佐竹君と良く話してるよねー?』

指名されたリナという子は、二人の質問に『んー、ミツ君はー…』と考えた仕草をしている。

『私も、女の子みたいで可愛いって思う時あるかなぁ』

そう言ったリナの言葉に、佐竹の体がピクリと動いた。

佐竹を見ると、そこには沈んだ表情を浮かべていた。


…こんな顔見たのは初めてだ。

声をかけるより先に、佐竹の足が動く。


女子たちから逃げるように、別の道へ進んでいく佐竹の後ろを追いかけた。

動揺しながらも、かける言葉を必死で探す。


『あ…っと、あいつら意味わかんねーな』

『……』

『オレは、ミツのことカワイイーとか思ったこと一度もねーし』

『……』

『ミツはカッコいいし。それに礼儀正しくて、喧嘩が強くて…オトコが憧れるオトコで!ええっと〜…それから〜…』

段々必死になってる姿に、佐竹は『…ふっ』と笑いを吹いた。

『ありがとうライト』

『あいつら目がおかしいんだよ!言ってたことなんか気にすんなよ』


佐竹に笑みが戻ってホッとした。
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