隣の席の佐竹くんには…

次の日、佐竹と登校するなり『なぁ!』と、玄関のところで大川が立ちはだかってきた。

その姿に、ため息を吐く。

『最近おとなしくなったと思ってたのに。いつまでオレたちにまとわりつくわけ?しつこいんだけど』

見た目を変えて強気な態度をとるようになってから、大川は余裕がなくなったような顔をすることが多くなっていた。

けど、今日の大川は自信と余裕に溢れてた表情をしている。

以前、いじめてきた時と同じ顔。

なんだか嫌な懐かしさを感じ、思わず唾を飲んでしまった。

『な…んだよ?』

『オレさ、昨日偶然聞いちゃったんだよね』

『何を?』

その問いに、大川が意地悪そうにニヤッと笑う。

『女子たちにかわい〜って言われてさ、佐竹逃げたよな』

こいつ…あの時、逆側にいたのか…?

『逃げたんじゃねーから』

なぁ!と、同調を求めようと佐竹に顔を向けるが、佐竹は黙ったまま顔を俯かせている。

(ミツ…?)

その様子に大川はさらに口角をつり上げる。

『教えてやるよ。お前らが逃げた後にも女子たちが噂してたぜ。実は佐竹って女の子なんじゃねーかって』

『はぁ??んなわけねーじゃん!見ればわかるだろ』

女子たちの言ってること本気で信じてるとかヤバいだろ。

一緒に風呂入った時だってあるし!

数分前に少しでも大川にビビってしまったことが恥ずかしい。

『だったらなんで佐竹は否定してこないんだよ』

ニヤニヤと楽しそうな大川。

それでも佐竹は言い返そうとしない。

…どうしたんだよ。

違うんだから否定すればいいのに…
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