隣の席の佐竹くんには…
『あれ?もしかしてオカマなの?』

『うるせーな!黙れよ!』

…こいつ。

言い返さないってわかった途端、言いたい放題言いやがって。

大川は言いたいことだけ言って、勝ち誇ったような顔を残して去っていった。


『どーして言い返さなかったんだよ。肯定してるって捉えられるだろ』

『……オレ…』

そこまで言って、佐竹はようやく顔を上げた。

瞳が不安そうに揺れている。

その表情はとても不安で弱々しくて。

『女みたいなのかな?』
『だからそんな事ないって!』

『親戚のおばさんも言うんだ。カワイイねって』

『おばさんも目が悪いのかよ…』

『最初はあまり気にしてなかったけど、来るたびに言ってくるから嫌でさ…。この間なんか、カワイイ顔してるんだからヤンチャな行動するなんてもったいないって言われて』

『もったいないって…』

屁理屈じゃん。

『大学生のいとこには女ものの服着せられそうになるし…』

『うわ…マジかよ…』




『……この顔、嫌い』


グシャっと前髪を掴み、今にも泣き出しそうな顔の佐竹。

こんな姿を見たのは初めてで、思わず動揺してしまった。


…ずっと、気にしてたのかもしれない。

もしかして、武士みたいな強い男になりたいってこだわってたのは、そういうことなのか?

もし、そうだとしたら、全く気づかなかった自分に腹が立つ。

『か、顔なんかカンケーねーだろ!』

『……』

『大川もおばさんたちもミツの中身を全く見てない。それのほうがもったいねーじゃん。オレは、ミツが強いってことも優しいってことも全部知ってるし!ミツはカッコいいんだよ!!』

『…ありがとう。昨日からライトに慰められっぱなしだね』

『何か言われたら、またオレが言い返すから!気にすんな!!』

その言葉に、佐竹は力無く笑みを浮かべる。

(無理して笑ってる…)

どうやったら、笑顔を引き出せるのかわからない…

見た目変えて強くなったつもりでも、友達一人助けてあげることすらできない。



……むなしいな。
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