隣の席の佐竹くんには…
「で、好きな人ってあの人なんでしょ?」

そう言って七恵は、自分の髪の毛を前方に集めて顔を隠した。
ものすごく雑な真似だけど、それに無言で頷き返す。


…昨日、自分の感情に気づいてしまった。

佐竹君が好きだということに。

好奇心が湧くのも、知りたいと思うのも、ちょっとしたことに心が揺れるのも——全部、同じ理由だった。

気のせいにはできないくらい、大きくなっていた。

「あぁー、だから様子がおかしかったんだ。今日、ずっと佐竹君によそよそしかったもんね」

「どんな感じで話せばいいかわかんなくなっちゃって…」

「梅カワイイー。とにかく、自分に素直になってればいいんだよ。自然と行動もそうなるから」

「素直に……」

恋って、良くわからない。

変に意識しちゃうし、普段通りの表情保ててるかなとか、考えなくてもいいようなことばっか考えてしまうし。

普段通りでいられなくて、はがゆい。


…もし、隣の席が真面目な小林君のままだったらどうなっていたんだろう?

小林君を好きになっていたんだろうか。

…いや、それはない。

佐竹君だったから、好きになったんだ。


……予想外な恋をしてしまった。
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