とっても優しい幼馴染が塩対応になっちゃった

海に行こうよ!

「ねえねえ、聞いてあゆな! 今度の週末、祥平たちと4人で海に行くことになったから!」

翌日の昼休み、舞が嬉しそうにお弁当箱を広げながら言った。


「えっ、海……? 4人って、私と舞ちゃんに、祥平くんと……春樹くんも?」


そっ、とあゆなが尋ねると、舞は「そうそう!」と大きく頷いた。

「春樹、最近部活のトレーニングでめちゃくちゃ仕上がってるらしいよ! 祥平が言うには、腹筋とかマジですごいらしいから、あゆなも目の保養にしなよ!」


「ちょっ、舞ちゃん、声が大きいって……っ!」

顔を真っ赤にして慌てるあゆな。

身長145センチ、童顔でFカップというグラマラスすぎる自分の体型を思い出し、あゆなは水着を着る羞恥心で頭がどうにかなりそうだった。


しかも、あんなに塩対応な春樹と海に行って、果たして耐えられるのだろうか。



放課後、部活帰りの春樹を捕まえるべく、あゆなは舞に背中を押されて部室の前までやってきた。


ちょうど汗を拭きながら出てきた春樹と、祥平が歩いてくる。

「あの、春樹くん……っ!」

名前を呼ばれ、春樹はわずかに眉をひそめた。


「なんだよ、またお前か」


「んもう、そんなこと言わないの! 実はさ、今度この4人で海に行くことになったんだからね!」と、舞がすかさず割って入る。

春樹は一瞬、ギョッとしたように目を見開いた。


「……は? 海?」

「そう! 水着着て、みんなではしゃごうよ! 春樹くんも来るよね?」


あゆなが上目遣いでじっと見つめると、春樹はなぜか急に顔を背け、耳まで真っ赤にして口元を引き締めた。


「……海、かよ。行くわけ……」と言いかけた春樹の背中を、祥平が「おいおい何言ってんだ、行くぞ!」と豪快に叩いた。



「ほら決まり! じゃあ週末な!」と祥平と舞が勝手に話をまとめてしまう。


春樹は小さく「……勝手なやつらだな」と呟くと、あゆなを直視しないまま、ボソッと言った。

「……行くなら、日焼け止めくらいちゃんと塗っとけよ。その……目立つんだからな、色々」


「え……?」

意味深な言葉を残し、春樹はそっぽを向いて歩いていってしまう。


その背中を見送りながら、あゆなは(もしかして、少しは楽しみにしてくれてる……?)と、胸をときめかせるのだった。
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