とっても優しい幼馴染が塩対応になっちゃった

海の中のふたり乗り

「おい、あゆな。ぼさっとすんな、乗り遅れるぞ」

春樹に半ば強引に手を引っ張られ、あゆなは海の家から貸し出されている大きな足漕ぎボート(海の中の乗り物)へと向かった。


ダブルデートということで、舞と祥平のボートが先に出発し、少し遅れて春樹とあゆなの一艇が波間に漕ぎ出す。

「わあ……! すごい、きれい!」

エメラルドグリーンの透き通った海。ボートの底から、小さな魚たちが泳いでいくのが見える。


あゆなははしゃぎながら縁に身を乗り出した――が、その瞬間、ボートが大きく揺れた。

「きゃっ……!」


「っと……危ねえな、本当にてめえは……」



バランスを崩したあゆなを、後ろに座る春樹がすかさずガシッと腰を引き寄せて受け止める。


春樹の引き締まった腕の中にすっぽりと閉じ込められる形になり、あゆなは背中から伝わる熱に息を呑んだ。

「も、もう……そんなに怒らなくてもいいじゃない……」


赤面しながら上目遣いで文句を言うと、春樹はなぜか気まずそうに目をそらし、力強くペダルを踏み始めた。

――だが、その可愛すぎる小柄な美少女ぶりは、海の上でも周囲の視線を一網打尽にしていた。
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