とっても優しい幼馴染が塩対応になっちゃった

ねぇ、しかも、あゆな……あいつ……!

少し離れた場所で、舞とボートを並べていた祥平が、ニヤニヤしながら春樹たちのほうに声を飛ばしてきた。

「おい春樹! お前、周りの男たちがみんなあゆなちゃんに釘付けだぞ! 目の保養どころか、大人気で大変だな!」


祥平のその言葉に、舞も「ほんと、あゆな可愛すぎだもんね〜! 春樹くん、油断してたら取られちゃうよ?」と楽しそうに加勢する。

それを聞いた春樹の眉間が、ビクッと険しくピクついた。


春樹はボートをピタリと止めると、激しい波音に負けないくらいの、しかしどこか焦りを帯びた低音で祥平たちに言い放った。

「……うるさい。だいたい、あいつは……」

言葉を詰まらせた春樹は、ぐっと拳を握りしめ、真っ赤になった顔のままあゆなを横目で睨んだ。



(――ねぇ、しかも、あゆな……あいつ、自分で自分がどれだけ男を引きつけてるか、全然わかってねえし……っ!)



心の底でそう叫びながら、春樹はあゆなの腕をきつく掴み、自分のボートへとさらに引き寄せた。


冷たい塩対応の裏に隠された、春樹の限界ギリギリの独占欲が、夏の海の上で盛大に爆発しようとしていた。
< 8 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop