目覚めたら、最推しの腕の中でした~1度終わった私の人生、もう一度恋をしました。~

第38話 夫に、私は生きていると伝えた

星に。

本当のことを話せた。

そして。

次に会いたいと。

思ったのは。

もちろん。

他の子どもたち。

でも。

そのためには。

避けて通れない人がいる。

前の人生で。

私の夫だった人。

子どもたちの。

父親。

「……どうしよう」

私は。

スマートフォンを前に。

何度目か分からない。

ため息をついた。

連絡先は。

知っている。

以前。

陽向と一緒に。

夫のSNSを見たこともある。

でも。

今の私が。

突然。

『あなたの亡くなった妻です』

なんて。

連絡できるはずがない。

怖い。

星は。

私を信じてくれた。

でも。

夫は?

『そんなわけない』

と。

拒絶されたら。

それだけじゃない。

今の私には。

陽向がいる。

前の夫がいるのに。

別の男性と付き合っている。

そんなふうに。

見えるかもしれない。

私は。

もう死んだ人間。

戸籍上。

高瀬美月は。

存在していない。

でも。

心は。

まだ。

完全に。

過去と切り離されたわけじゃない。

「……難しすぎる」

テーブルに。

突っ伏す。

そのとき。

インターホンが鳴った。

◇◇◇

「ただいまー」

「ここ陽向の家じゃないよ」

「最近もう半分そうじゃない?」

「違います」

陽向が。

大きな紙袋を抱えて。

入ってくる。

「何それ?」

「差し入れ」

「また?」

「今日撮影で余った」

中を見る。

お菓子。

サンドイッチ。

そして。

チーズケーキ。

「……絶対私のために持ってきたでしょ」

「バレた?」

「チーズケーキ一番上だもん」

「美月メモ優秀」

「まだ使ってるの?」

「当然」

陽向が。

笑う。

でも。

すぐに。

私の顔を見た。

「で?」

「え?」

「何悩んでる?」

「……」

「分かる?」

「分かる」

即答。

「美月」

私の向かいに座る。

「考えすぎると」

「眉間めっちゃ寄る」

「そんなに?」

「あとコーヒー全然減ってない」

見る。

確かに。

淹れてから。

ほとんど。

飲んでいなかった。

「……夫のこと」

陽向の表情が。

少し変わった。

「前の?」

「うん」

私は。

ゆっくり頷いた。

「子どもたちに会うなら」

「やっぱり」

「話さないといけないと思う」

「……うん」

「星だけで」

「全部動かすわけにはいかないし」

「うん」

「でも」

言葉が。

止まる。

陽向は。

急かさない。

「何?」

「……怖い」

ようやく。

言えた。

「信じてくれないのが?」

「それも」

「他には?」

私は。

手を握る。

「陽向のこと」

「……俺?」

「だって」

私は。

陽向を見る。

「私」

「前の人生では」

「結婚してた」

「うん」

「夫がいて」

「今も」

「子どもたちのお父さんとして」

「生きてる」

「……うん」

「なのに」

「私には」

声が。

小さくなる。

「今」

「陽向がいる」

陽向は。

何も言わなかった。

「夫から見たら」

「私は」

「死んだと思ってた妻が」

「別の女の人の姿で帰ってきて」

「しかも」

「別の男と付き合ってる」

「……」

「最悪に見えるよね」

陽向が。

少しだけ。

眉を寄せた。

「美月」

「うん」

「一個ずつでよくない?」

「え?」

「今日」

指を一本立てる。

「旦那さんに」

「俺のことまで全部言う必要ある?」

「……」

「まず」

二本目。

「美月が生きてる」

「それを」

「信じてもらう」

「……」

「次」

「子どもたちに」

「どうするか話す」

「……うん」

「俺のことは」

少し笑う。

「そのあとでいいじゃん」

私は。

陽向を見る。

「嫌じゃないの?」

「何が?」

「私が」

「前の夫と会うの」

一瞬。

陽向が。

黙る。

「……嫌じゃないって言ったら」

「たぶん嘘」

「え?」

「そりゃ」

少し。

困ったように笑う。

「好きな人が」

「前の旦那と会うんだから」

「ちょっと複雑」

胸が。

小さく鳴る。

「でも」

陽向が続ける。

「美月にとって」

「その人は」

「ただの元カレとかじゃない」

「……」

「子どもたちのお父さん」

「うん」

「それに」

「美月の三十四年の中に」

「ちゃんといた人」

「……うん」

「そこ」

「俺が消したいとか」

「思ってない」

胸の奥。

じわっと。

温かくなる。

「陽向」

「だから」

少し。

目を逸らす。

「多少嫉妬はするけど」

「するんだ」

「するよ!」

「ふふっ」

「笑うな」

でも。

その正直さが。

嬉しかった。

◇◇◇

その夜。

星から。

電話が来た。

『ママ』

「うん」

その呼び方に。

まだ。

毎回。

胸が。

柔らかくなる。

『パパのことなんだけど』

心臓が。

跳ねた。

「……うん」

『私』

星が。

少し。

言いにくそうにする。

『まだ何も言ってない』

「うん」

『でも』

少し。

間。

『ママが会いたいなら』

『私から』

『話すきっかけ作ろうか?』

「……」

私は。

目を閉じた。

会いたい。

怖い。

でも。

逃げたくない。

「星」

『うん』

「ママ」

一度。

息を吸う。

「会いたい」

電話の向こう。

星が。

少し。

笑った気がした。

『分かった』

「でも」

『うん』

「星だけに」

「全部背負わせたくない」

『……』

「話すとき」

「ママもいる」

『本当に?』

「うん」

怖い。

でも。

これは。

私のこと。

星に。

代わりに説明させるのは。

違う。

「私が」

「ちゃんと話す」

『……うん』

「星は」

「そばにいてくれる?」

『当たり前じゃん』

その声。

泣きそうになった。

「ありがとう」

『じゃあ』

星が。

少し考える。

『パパに』

『会ってほしい人がいるって言ってみる』

「……うん」

『ママ』

「何?」

『大丈夫?』

私は。

一瞬。

いつもの答えを。

言いそうになる。

でも。

やめた。

「……大丈夫じゃない」

正直に。

言う。

「めちゃくちゃ怖い」

星が。

少し笑った。

『そっか』

「うん」

『じゃあ』

優しい声。

『一緒に怖がろ』

「……」

その言葉。

どこか。

陽向に。

似ている。

「うん」

私は。

笑った。

「一緒に」

◇◇◇

そして。

数日後。

指定された場所は。

静かな。

ホテルのラウンジだった。

人目がある。

でも。

個室に近い。

奥の席。

私は。

早く着きすぎていた。

手が。

震える。

何度。

水を飲んでも。

喉が乾く。

「ママ」

隣にいる。

星が。

私の手を見る。

「冷たい」

「緊張してる」

「うん」

「逃げたい」

「……逃げる?」

私は。

首を振った。

「逃げない」

「そっか」

星が。

私の手を。

握ってくれた。

その瞬間。

入り口。

一人の男性が。

入ってきた。

「……」

息が。

止まった。

夫。

久しぶりに。

見る。

変わっている。

少し。

痩せた気がする。

顔も。

疲れている。

胸が。

痛んだ。

私は。

この人を。

愛していなかったわけじゃない。

楽しい時間も。

あった。

一緒に。

子どもたちを育てた。

腹が立ったことも。

寂しかったことも。

たくさんあった。

でも。

全部。

私の一度目の人生。

「星」

夫が。

こちらへ来る。

「会ってほしい人って……」

言葉が。

止まった。

私を見る。

当然。

知っている。

一ノ瀬紗良。

有名女優。

「……一ノ瀬紗良さん?」

「はい」

私は。

立ち上がる。

頭を下げる。

「初めまして」

その言葉が。

胸に刺さる。

夫に。

初めまして。

なんて。

「どういうこと?」

夫が。

星を見る。

「何でお前が」

「女優さんと?」

「パパ」

星が。

緊張した声で。

言う。

「座って」

「いや」

「説明して」

「するから」

星が。

私を見る。

私は。

小さく。

頷いた。

三人。

座る。

沈黙。

夫は。

私と。

星を。

交互に見ている。

「……何?」

「星」

「モデル始めたから」

「その関係?」

「違う」

星が。

首を振る。

「じゃあ何」

「……」

星が。

私を見る。

私は。

自分の手を。

膝の上で握る。

私が。

話す。

「突然」

声が。

震える。

「こんなことを言われても」

「信じられないと思います」

夫の眉が。

寄る。

「……はい?」

「でも」

胸に。

手を置く。

「聞いてほしいことがあります」

夫が。

じっと。

私を見る。

「何でしょう」

敬語。

当たり前。

苦しい。

私は。

一度。

目を閉じた。

そして。

言った。

「高瀬美月の」

夫の顔が。

変わった。

「……妻の名前を」

「どうして」

「私は」

続ける。

「高瀬美月です」

空気が。

止まった。

◇◇◇

夫は。

しばらく。

何も言わなかった。

そして。

「……何ですか」

低い声。

「それ」

「パパ」

「星」

夫が。

娘を見る。

「お前」

「この人に」

「何話した?」

「違う!」

星が。

すぐに。

首を振る。

「私じゃない」

「じゃあ何だよ」

夫が。

私を見る。

怒り。

困惑。

そして。

明らかな。

警戒。

当然だ。

「うちのこと」

「どこまで調べたんですか?」

「……調べたんじゃない」

「じゃあ」

「何で」

声が。

強くなる。

「死んだ妻の名前使って」

「そんなこと言うんですか」

胸が。

痛む。

でも。

逃げない。

「信じてもらえないのは」

「分かっています」

「当たり前でしょ」

「はい」

「妻は」

夫が。

唇を噛む。

「死んだんです」

「……うん」

「俺」

声が。

震えた。

「確認しました」

その言葉。

星のときと。

同じ。

私は。

自分が。

どれほど。

残酷なことを。

言っているのか。

改めて。

思い知る。

「……うん」

「葬式もした」

「うん」

「子どもら」

「ずっと」

夫が。

拳を握る。

「どんな思いで」

「……」

「分かってます?」

「分かるよ」

思わず。

昔の口調で。

答えた。

夫が。

止まった。

「……」

私も。

気づく。

一ノ瀬紗良として。

丁寧に。

話していたのに。

今。

いつもの。

私の言い方が。

出た。

「分かる」

私は。

もう一度。

言った。

「だって」

涙が。

溢れる。

「私も」

「ずっと」

「子どもたちに会いたかったから」

「……」

「星が」

「泣いてるのも」

「遠くからしか」

「見られなかった」

夫の目が。

揺れる。

「……何?」

「事故のあと」

「私は」

「この身体で」

「目を覚ました」

「……」

「自分の身体が」

「死んだことも」

「あとから知った」

「……」

「信じられなかった」

涙を。

拭う。

「私だって」

「何でこんなことになったのか」

「分からない」

夫が。

何も言わない。

ただ。

私を。

見ている。

「でも」

「私しか知らないこと」

「ある」

「……」

「何を」

私は。

震える。

こんな形で。

夫との思い出を。

証明に使うなんて。

変な感じ。

「一番下の子が」

「夜泣きひどかったとき」

「……」

夫の表情が。

少し変わる。

「あなた」

「夜中」

「抱っこ代わってくれたことあったよね」

「……」

「でも」

私は。

涙の中。

少し笑う。

「五分で」

「腰痛いって」

「私に戻した」

夫が。

目を見開く。

「……」

「私」

「そのあと」

「めっちゃ怒った」

「……」

「『五分で何が腰痛いや』って」

星が。

隣で。

少し。

吹き出しそうになる。

でも。

夫は。

笑わない。

「それくらい」

「星から聞ける」

「……うん」

「じゃあ」

私は。

一度。

考える。

夫と。

私だけ。

知っていること。

そして。

ふっと。

思い出す。

「結婚したばっかりの頃」

夫の目が。

揺れる。

「あなた」

「私に」

「一回だけ」

「手紙くれたよね」

「……」

「喧嘩したあと」

「口じゃ」

「言えないからって」

「……」

「最後」

涙が。

落ちる。

「『俺は上手く言えんけど、美月がおらんと困る』って」

夫の顔から。

血の気が。

引いた。

「……何で」

「その手紙」

私は。

笑う。

「捨ててって言われたけど」

「捨ててない」

「……」

「クローゼットの」

「昔の写真入れてる箱の」

「底」

夫が。

息を止めた。

「青い封筒」

「……」

「まだ」

「あるなら」

「見て」

「……」

夫の手が。

震えていた。

◇◇◇

「……星」

夫が。

娘を見る。

「お前」

「本当に」

「何も教えてない?」

「教えてない」

「手紙なんて」

星が。

首を振る。

「知らない」

夫が。

私を見る。

「……」

信じた。

わけじゃない。

まだ。

理解できない顔。

でも。

さっきまでとは。

明らかに違う。

「……もし」

夫が。

ゆっくり。

口を開く。

「本当に」

「美月だとして」

胸が。

大きく鳴る。

「……うん」

「何で」

夫の目が。

赤くなる。

「帰ってこなかった?」

その言葉に。

胸が。

引き裂かれた。

「帰りたかった」

すぐに。

答えた。

「だったら!」

夫の声が。

大きくなる。

「何で!」

「帰れなかったの!」

私も。

声が震える。

「この顔で!」

「……」

「帰って」

涙が。

止まらない。

「誰が信じるの!?」

夫が。

言葉を失う。

「私だって」

「何回も」

「帰りたかった!」

「……」

「子どもたちに」

「ママだよって」

「言いたかった!」

「……」

「でも」

私は。

自分の顔を指す。

「一ノ瀬紗良なんだよ!」

「……」

「高瀬美月の顔じゃない!」

夫が。

下を向く。

「私」

声が。

崩れる。

「星に会うだけでも」

「ずっと怖かった」

「……」

「信じてもらえなかったら」

「二回」

「子どもを失うみたいで」

「怖かった」

静かになった。

夫も。

泣いていた。

私は。

初めて。

気づいた。

この人も。

妻を。

失った。

私が。

子どもたちを失ったように。

夫も。

あの日。

突然。

家族を。

失った。

「……美月」

小さな声。

私は。

顔を上げた。

今。

確かに。

呼ばれた。

「……」

夫自身も。

驚いたような顔をしている。

「今」

星が。

泣きながら。

言った。

「パパ」

「ママって」

「……」

夫は。

顔を覆った。

「分からん」

震える声。

「こんなん」

「分かるわけない」

「……うん」

「でも」

顔を上げる。

私を見る。

「喋り方」

「……」

「怒り方」

「……」

「さっきの」

少しだけ。

泣きながら。

苦笑した。

「『五分で何が腰痛いや』」

「……」

「美月や」

涙が。

一気に。

溢れた。

◇◇◇

夫は。

その日。

全部を。

信じたわけではなかった。

当たり前だと思う。

でも。

最後に。

言った。

「手紙」

「帰ったら見る」

「……うん」

「それで」

「……」

「もう一回」

私を見る。

「話したい」

「うん」

私は。

頷いた。

「何回でも」

そして。

夫が。

立ち上がる。

そのとき。

私は。

思わず。

呼び止めた。

「待って」

「……何?」

聞きたいこと。

ずっと。

聞けなかった。

「子どもたち」

声が。

震える。

「元気?」

夫の顔が。

苦しそうに歪んだ。

「……元気に」

少し。

間。

「しようとはしてる」

星が。

俯く。

胸が。

痛い。

「会いたい」

私は。

言った。

「みんなに」

「……」

「会わせてほしい」

夫は。

すぐに。

答えなかった。

長い。

沈黙。

そして。

「俺一人では」

ゆっくり。

言う。

「決められん」

「……うん」

「子どもらにも」

「聞く」

その言葉。

私は。

すぐに。

頷いた。

「うん」

「それでいい」

信じるか。

会いたいか。

子どもたちが。

決める。

「ただ」

夫が。

私を見る。

「星」

「うん」

「お前は」

「本当に」

「この人が」

言葉が。

止まる。

星が。

迷わず。

答えた。

「ママだよ」

「……」

「私」

星が。

私の手を。

握る。

「分かるもん」

夫が。

少しだけ。

目を閉じた。

「……そっか」

それだけ。

言って。

帰っていった。

◇◇◇

夫が。

見えなくなったあと。

私は。

全身から。

力が抜けた。

「……怖かった」

星が。

私の肩に。

寄り添う。

「頑張ったね」

「うん」

「ママ」

「何?」

「パパ」

「途中から」

「ママ見る目だったよ」

「……」

涙が。

また。

落ちた。

「本当?」

「うん」

星が。

笑う。

「呆れた顔とか」

「完全に」

「昔のパパだった」

「何それ」

「ママが怒ってるときの」

「『また始まった』って顔」

「……」

思わず。

笑った。

泣きながら。

笑った。

◇◇◇

夜。

陽向に。

全部話した。

話し終わるまで。

陽向は。

何も言わなかった。

「……そっか」

最後。

それだけ。

言って。

私の手を握る。

「信じてもらえそう?」

「分かんない」

「うん」

「でも」

私は。

少し笑う。

「美月って」

「呼ばれた」

陽向の手が。

一瞬。

止まった。

「……旦那さんに?」

「うん」

「……」

「陽向?」

「いや」

何とも言えない顔。

「ちょっとだけ」

「何?」

「嫉妬した」

私は。

目を丸くする。

「今!?」

「だって」

陽向が。

眉を下げる。

「俺が」

「すげえ大事にしてる名前」

「昔から呼んでた人なんだなって」

「……」

可愛い。

思ったけど。

言ったら。

怒りそう。

「でも」

陽向が。

すぐに。

笑った。

「よかったな」

「……うん」

「美月が」

「一回目の人生に」

「ちゃんと」

「戻れる道」

胸が。

小さく。

揺れる。

「戻る」

私は。

その言葉を。

繰り返した。

すると。

陽向が。

少し慌てる。

「いや」

「俺と別れて戻れって意味じゃないからな!」

「分かってるよ」

「マジ?」

「うん」

私は。

陽向の手を。

握り返した。

「戻るんじゃない」

「……?」

「繋げたい」

私は。

笑う。

「前の人生と」

「今の人生」

「……」

「どっちも」

「私だから」

陽向が。

ゆっくり。

笑った。

「うん」

「それがいい」

◇◇◇

その夜。

帰宅した夫から。

星に。

一枚の写真が。

送られてきた。

それを。

星が。

私へ転送してくれた。

青い。

古い封筒。

そして。

短いメッセージ。

『あった』

それだけ。

私は。

画面を見つめた。

涙が。

滲む。

さらに。

数分後。

もう一通。

『子どもたちに話す前に、もう一度会いたい』

私は。

しばらく。

その文字を。

見ていた。

怖い。

でも。

今度は。

逃げない。

『分かった』

送信する。

そして。

少し迷って。

もう一文。

加えた。

『話したいこと、私もたくさんある』

送った。

前の夫と。

これからの私。

母親として。

妻だった人間として。

そして。

陽向を愛する。

今の高瀬美月として。

ちゃんと。

向き合うために。

私には。

まだ。

越えなければならない。

大きな一歩が。

残っていた。
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