儚く散った初恋は十二年の時を経て芽吹く 〜犬猿の仲だった御曹司と再会したら溺愛されました〜

結月の仕事

 天井高のある開放的な空間と大きな窓から差し込む自然光。そして圧倒的な高さの大きな窓から、湘南の煌めく海と青い空が一望できる。自然光に満たされるチャペルは、どこを見ても素晴らしい。

(綺麗……)

 キラキラと輝くチャペルは別世界のようで、ここで結婚式を挙げられたらどれほど幸せだろうか。

 なだらかな丘に建つ四階建てのホテル。九十七室ある客室すべてから湘南の海が一望できる。

 結月は幼い頃に初めて泊まった湘南にあるリゾートホテルに就職した。そのときの思い出や印象が深かったこともあるが、何よりホテリエたちの洗練された接客に憧れたのだ。

 ここで過ごすお客様に、あのときの結月と同じような思いを持ってもらえるよう、日々努力してサービスを提供したい。
 祖母が心配だったこともあるけれど、ずっと憧れていたホテルで働きたいという気持ちが、結月に帰国を決断させたのだ。

 そして結月は厳しい研修を終え、今日からフロントサービス係として配属される。

(ここのホテルを訪れるお客様は一流の方が多いから、私もお客様の求めに応じれるように頑張らなきゃ)

 結月は制服に身を包み、深呼吸した。
 まだ新人の結月にできることは少ないけれど、先輩たちの気品ある佇まいを真似して頑張りたいと、日々奮闘している。

「日向さん」
「はい」

 結月は名前を呼ばれて、ロッカールームを出た。今日から先輩方と同じようにお客様の前に立つので、気を引き締めなければ……。
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