儚く散った初恋は十二年の時を経て芽吹く 〜犬猿の仲だった御曹司と再会したら溺愛されました〜
デート
祖母と拓真により突如組み込まれた買い物の約束から数日後、結月は拓真が運転する車の助手席に座り、ぼんやりと景色を眺めていた。
(平日の昼間だけど……少し道が混んでいるわね)
そんなことを考えていたとき、赤信号で止まった拓真に話しかけられて、結月は気怠げに視線を動かした。
「気に入るマグカップが見つかるといいですね」
「……そうね。それより、運転中はちゃんと前を向いていなさいよ」
自分でも驚くほどに冷たい声が出て、ハッとする。
(私ったら、今のはよくないわ……)
拓真と出掛けることに戸惑っているからといって冷たくするのは違うだろう。
(気をつけなくちゃ)
反省している結月の胸中とは違い、拓真は気にしていないのか「はいはい」と軽く返事をして、また車を発進させた。ほどなくして、車は横浜の元町に着いた。
「ここから少し歩きましょうか」
「ええ」
拓真の提案に首肯して、結月は車をおりた。
車をとめたのは元町商店街近くの駐車場だったので、目の前には横浜らしい街並みが広がっていた。山下公園や中華街にも近く、観光客のほかには散策を楽しんでいる地元の人も多くいるようだ。
(いつ来ても素敵ね)
季節ごとの花々に彩られた街路樹と、ヨーロッパ調の建物が並ぶ様子は、どこを切り取っても絵になる。
ゆるやかに続く石畳の道を少し歩くと老舗のブティックからカフェ、革製品や洋菓子店、インテリアショップまで、個性あふれるお店がずらりと並び、目を引いた。
「私、ここ好きなのよね。街全体がゆったりとした空気に包まれていて、歩いているだけで心がほどけていくようだもの。連れてきてくれてありがとう」
「どういたしまして。そんなに遠くないのに、案外ここまで足を延ばさないから……たまにはいいかと思って……」
「そうね。用がないと、わざわざ来ないかも。不思議ね、好きな場所なのに」
ポツリと呟くと、拓真が柔らかく笑った。その表情があまりにも眩しくて、慌てて視線を逸らす。
なぜか分からないが、鼓動が速くなったように感じて、結月は胸元を強く掴んだ。
(どうしたのかしら。久しぶりに拓真くんと出掛けるから、緊張しているのかな)
そういえば、彼とどこかに行くのはどれくらいぶりだろう。
結月は小さく息をついた。
昔はずっと一緒にいると信じていた。でも仲が悪くなって……今度は永遠にさよならだと思っていた。でも今こうしてまた一緒に過ごしている。
人生とは何が起きるか、よく分からないものだ。
(そう思うと、一瞬一瞬が当たり前ではないのよね)
(平日の昼間だけど……少し道が混んでいるわね)
そんなことを考えていたとき、赤信号で止まった拓真に話しかけられて、結月は気怠げに視線を動かした。
「気に入るマグカップが見つかるといいですね」
「……そうね。それより、運転中はちゃんと前を向いていなさいよ」
自分でも驚くほどに冷たい声が出て、ハッとする。
(私ったら、今のはよくないわ……)
拓真と出掛けることに戸惑っているからといって冷たくするのは違うだろう。
(気をつけなくちゃ)
反省している結月の胸中とは違い、拓真は気にしていないのか「はいはい」と軽く返事をして、また車を発進させた。ほどなくして、車は横浜の元町に着いた。
「ここから少し歩きましょうか」
「ええ」
拓真の提案に首肯して、結月は車をおりた。
車をとめたのは元町商店街近くの駐車場だったので、目の前には横浜らしい街並みが広がっていた。山下公園や中華街にも近く、観光客のほかには散策を楽しんでいる地元の人も多くいるようだ。
(いつ来ても素敵ね)
季節ごとの花々に彩られた街路樹と、ヨーロッパ調の建物が並ぶ様子は、どこを切り取っても絵になる。
ゆるやかに続く石畳の道を少し歩くと老舗のブティックからカフェ、革製品や洋菓子店、インテリアショップまで、個性あふれるお店がずらりと並び、目を引いた。
「私、ここ好きなのよね。街全体がゆったりとした空気に包まれていて、歩いているだけで心がほどけていくようだもの。連れてきてくれてありがとう」
「どういたしまして。そんなに遠くないのに、案外ここまで足を延ばさないから……たまにはいいかと思って……」
「そうね。用がないと、わざわざ来ないかも。不思議ね、好きな場所なのに」
ポツリと呟くと、拓真が柔らかく笑った。その表情があまりにも眩しくて、慌てて視線を逸らす。
なぜか分からないが、鼓動が速くなったように感じて、結月は胸元を強く掴んだ。
(どうしたのかしら。久しぶりに拓真くんと出掛けるから、緊張しているのかな)
そういえば、彼とどこかに行くのはどれくらいぶりだろう。
結月は小さく息をついた。
昔はずっと一緒にいると信じていた。でも仲が悪くなって……今度は永遠にさよならだと思っていた。でも今こうしてまた一緒に過ごしている。
人生とは何が起きるか、よく分からないものだ。
(そう思うと、一瞬一瞬が当たり前ではないのよね)