儚く散った初恋は十二年の時を経て芽吹く 〜犬猿の仲だった御曹司と再会したら溺愛されました〜
「……拓真くんオススメのお店は、この近くにあるの?」
「汐汲坂のほうです」
元町通りから南へ折れて山手本通りに至る細くて急な坂道。それを指差す拓真の指先のほうに視線を向ける。
坂の入り口に行列ができているクレープ屋があって、結月はまずそこが気になった。
「あら、美味しそうなクレープ屋さんがあるわ。食べていきましょうよ」
「それはあとのお楽しみです」
後ろ髪引かれている結月の手を、拓真が引いて坂をのぼる。山手は急坂が多いが、ここはなかなかの勾配だった。
息が上がってきた頃、ようやくお目当てのお店が見えてくる。
「わぁ、素敵!」
今までの疲れが一気にどこかへ飛んでいき、結月は目を奪われた。
明るい陽ざしが入り、おだやかな空気が流れる店内には、一見すると素朴でありながらも、普段の生活がより楽しくなるような素敵なうつわが並んでいた。
「ここはお店の人が、日本全国を訪ね歩いて探した作家さんの作品を扱っているんです。使い勝手はもちろんのこと、置いてあるだけでもその空間が満たされていくような感覚を大切にして選んでいるそうなので、ここなら結月が気にいるものが絶対あると思ったんです」
温かな空気に包まれる店内は居心地がよく、拓真の言うとおり店主のこだわりの深さが感じられる優しいディスプレイだった。
「どれもすごく良くて、迷っちゃうわね」
結月が店内を見回していると、店員が優しく声をかけてくれる。
「まず目についたものを実際に手にとって、手ざわりや重みを感じてください。いくつも触れているうちに自分の感覚にしっくり合うものが見つかると思いますよ」
「ありがとうございます。そうしてみます」
陶器以外にも、ガラス製品やカトラリーも充実していた。
昔の窓ガラスのようなレトロな雰囲気をもつグラスは、その口元に琥珀色のガラスを巻いた繊細なつくりだ。
(綺麗……)
手に取ると、どれも違う手触りだった。なめらかなものやざらついたもの。そして、とても繊細なもの。千差万別で、そして触れると温かみを感じるものばかりだ。
(連れてきてくれた拓真くんに感謝ね)
じっくりと時間をかけてお気に入りのうつわを選ぶのは、とても贅沢で幸せだ。
「あ、これいいな」
ふと目にとまったマグカップを手に取る。うさぎの絵が描いてあった。
表面がざらりとしていて、土器のような趣がある。何より、とても手に馴染んだ。
「私、これにするわ」
「気に入ったものが見つかって良かった。もし良かったら、ほかにも買いませんか? 箸置きとか、いいと思うんですけど」
「箸置き?」
気に入った商品が見つかってうきうきしていると、拓真が箸置きを指差した。
見ているだけで、思わず笑顔になるような可愛い箸置きに、結月は快諾した。
「汐汲坂のほうです」
元町通りから南へ折れて山手本通りに至る細くて急な坂道。それを指差す拓真の指先のほうに視線を向ける。
坂の入り口に行列ができているクレープ屋があって、結月はまずそこが気になった。
「あら、美味しそうなクレープ屋さんがあるわ。食べていきましょうよ」
「それはあとのお楽しみです」
後ろ髪引かれている結月の手を、拓真が引いて坂をのぼる。山手は急坂が多いが、ここはなかなかの勾配だった。
息が上がってきた頃、ようやくお目当てのお店が見えてくる。
「わぁ、素敵!」
今までの疲れが一気にどこかへ飛んでいき、結月は目を奪われた。
明るい陽ざしが入り、おだやかな空気が流れる店内には、一見すると素朴でありながらも、普段の生活がより楽しくなるような素敵なうつわが並んでいた。
「ここはお店の人が、日本全国を訪ね歩いて探した作家さんの作品を扱っているんです。使い勝手はもちろんのこと、置いてあるだけでもその空間が満たされていくような感覚を大切にして選んでいるそうなので、ここなら結月が気にいるものが絶対あると思ったんです」
温かな空気に包まれる店内は居心地がよく、拓真の言うとおり店主のこだわりの深さが感じられる優しいディスプレイだった。
「どれもすごく良くて、迷っちゃうわね」
結月が店内を見回していると、店員が優しく声をかけてくれる。
「まず目についたものを実際に手にとって、手ざわりや重みを感じてください。いくつも触れているうちに自分の感覚にしっくり合うものが見つかると思いますよ」
「ありがとうございます。そうしてみます」
陶器以外にも、ガラス製品やカトラリーも充実していた。
昔の窓ガラスのようなレトロな雰囲気をもつグラスは、その口元に琥珀色のガラスを巻いた繊細なつくりだ。
(綺麗……)
手に取ると、どれも違う手触りだった。なめらかなものやざらついたもの。そして、とても繊細なもの。千差万別で、そして触れると温かみを感じるものばかりだ。
(連れてきてくれた拓真くんに感謝ね)
じっくりと時間をかけてお気に入りのうつわを選ぶのは、とても贅沢で幸せだ。
「あ、これいいな」
ふと目にとまったマグカップを手に取る。うさぎの絵が描いてあった。
表面がざらりとしていて、土器のような趣がある。何より、とても手に馴染んだ。
「私、これにするわ」
「気に入ったものが見つかって良かった。もし良かったら、ほかにも買いませんか? 箸置きとか、いいと思うんですけど」
「箸置き?」
気に入った商品が見つかってうきうきしていると、拓真が箸置きを指差した。
見ているだけで、思わず笑顔になるような可愛い箸置きに、結月は快諾した。