僕らのノイズ ※最後の願いは、よく考えたうえで送信してください。

「夕夏はすごいよね、うちは好きなことしかできないや」

 朋美はけらけらと笑いながら、私の肩をばしばし叩く。

「傷口が痛くなるから、もう少し優しくして」
「ごめんごめん、でも、ほんとすごいと思うわ、夕夏って」
「すごい、のかな」

 朋美は肩透かしをくらったかのように、上半身をこけさせた。

「大事なところをちゃんとはわかっていないのが、夕夏らしくていいけどさ……そんなんだと、いつまで経っても、面接突破、できないよ」

 痛いところを二度も突かれて、どんよりする。けれど、「まあ朋美だからいっか」と思える余裕が、私の中で育っていることが、少し誇らしかった。

「次どこ受けるの? そろそろ決めないと親や先生たち、うるさくない? 特に夕夏ママは厳しいじゃん」
「うるさいけれど、夢だけは譲りたくないし……」
「頑固だねぇ。で、いつよ、次は」
「もう、冬の一般入試に賭けるしかないと思っているよ。推薦受けられるところ、もうないし。受験勉強、しんどいけれど」
「うちも卒業までは頑張るかなー」

 朋美は後方に少し背中を逸らして、両手を後頭部に回し、天を仰いだ。

「何を頑張るの?」
「勉強」
「え?」

 私は自分の耳を疑った。
 朋美はもう進路決定して、専門学校への進学が確定している。それなのに、どうして。

「あのさぁ、知らないかもしれないけど、ゲーム制作も立派な理系のお仕事だからね? ……うちは今、文系だからそっち方面の知識を蓄えないと、専門でついていけなくなるし」

 はぁー、と朋美は私の机に上半身をなだれ込ませてきた。

 あの日以来、朋美はそれまでの鋭さを、どうやってかは分からないけれど、丸めて穏やかな雰囲気へと姿を変えた。穏やかというより、少しおちゃらけたような、昔の朋美が戻ってきたような気もする。
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