僕らのノイズ ※最後の願いは、よく考えたうえで送信してください。
余韻から目を覚ます。観客席を見渡すと、拍手の雨が降り注いでいた。
止むことを知らない、いや、止まないでほしいと、切に願う。私は、その心をそっと撫で下ろし、一度、まばたきをした。
先生が指揮台から降りて、ピアノ伴奏者の部員と聴衆に向けて共に一礼し、さらに拍手の音が大きくなる。
私と朋美は、生徒代表として、この合同定期演奏会を締めくくる言葉を考えてくるよう、先生に頼まれている。
拍手の音に圧倒されている私とは反対に、自分を貫くことを恐れない朋美は、ステージの床から出てきたマイク越しに話し始めていた。
「本日はお足元の悪い中、芝原学院高等学校合同定期演奏会にお越しくださり、ありがとうございます。……何から何を、どう話したらいいのかわかりません。この三年間、良くも悪くも、充実していたから。だから、今回は部長の私からではなく、芝学合唱部のエース組を代表し、佐々木夕夏にバトンタッチします」
それではどうぞ! 朋美はそう言いながら私のほうを振り向き、左腕を伸ばして、手を差し出してくる。
二、三メートルくらいは距離があるはず。それなのに、私が朋美の手に向かって自分の手を伸ばせば、すぐに届いてしまうような近さに思えた。
朋美がにこりと微笑んで、「ゆ」「か」と口パクで訴えてくる。
それにつられて、気がつけば、私はマイクの前に立っていた。
マイクに電源が入ったままだからか、空調の音と、マイクのノイズが響く。
私は、マイクから顔をそらして、一度深呼吸をした。
私なら、大丈夫。
制服のポケットから、複数枚の便せんが入った封筒を取り出して、封を開けた。