僕らのノイズ ※最後の願いは、よく考えたうえで送信してください。
 
 救世主願望、メサイア・コンプレックス。
 去年、図書館で勉強していたときに、ふと見つけた言葉だった。
 自分を助けるという目的を達成するために、相手を助ける。つまり、教授が言ったように、" 自分を救うために、誰かを利用する "。それを、一般的には「救世主願望、メサイア・コンプレックス」と呼ぶらしい。
 そのページを読んだときはまだ、「だからなんだというんだろう」と特にこれといったものを気に留めることなく、私の手は、指は、次のページをめくり続けた。

 それが今になって、私の無自覚な部分――素直に生きてきたつもりだったのに――を見透かして、言い当てられるなんて。図星だと思ってしまう自分は、少しは" 大人になれた "と思えていたはずなのに、それでも未熟なままの部分がたくさんあることに気づかされて、私は顔を酷く赤らめた。

「いいのよ、恥ずかしくなるのも。全然、ダメなことじゃない。むしろ、あなたが今気づけたこと、それがある意味、救いだから」

 私は机をバンと叩く。

「救い? こんな思いをさせられているのに!? どこが救いなんですか!」

 声を張り上げて、そう叫んだ。
 教室内に音が響いたのか、教授が目を見開いて、口をぽかんと開けている。
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