僕らのノイズ ※最後の願いは、よく考えたうえで送信してください。
やってしまった。
「初めてよね、あなたがそうやって声を張り上げるなんて」
「いや、その」
教授に成績を落とされるかもしれない。単位がもらえなくなるかもしれない。
それは私にとって、夢を叶えることができなくなる。死活問題だ。
実習を無事にやり終えて、単位を取得しないと、そもそも卒業単位すら危うくなるかもしれない。
私の脳内は、瞬く間に真っ黒な闇に覆われそうになる。私は、口をぎゅっと結んだ。
「いいのいいの。それに、明日から現場実習が始まるでしょ? その前に気づけたんだから。事前学習でみんな、今年の学生たちは自己主張が強すぎるからどうなることやら、と学生全員に対してハラハラしていたけれど」
「……どうしてそのとき、教えていただけなかったんですか」
「どうしてって」
教授は、うーん、そうねえと呟きながら、また悩んだ顔をする。
「そういうことこそ、本当は他人からじゃなくて自分の力で見つけに行って、自分から気づこうとしなければ、本当の意味では、答えにたどり着いたなんて、言えないんじゃない?」
悔しいけれど、今回ばかりは、教授の言う通りかもしれない。
それこそ、認めたくない、だけれど。
「昔ね、とはいっても数年前の職場にいたのよ。自分を救えていないのに、助けられていないのに、そのことに無自覚なままで、クライエントを救おう、助けようとしていた人が」
教授は遠い目をして、語り始める。
「良い人だった、本当に、良い人だった。でも」
教授の顔が曇り、私の目の前を冷たい風が吹いた気がした。
「その人が担当していたクライエントがね、自殺で亡くなられたの」
辺りの音が聞こえなくなる。
「ご遺族はその職員どころか、職場全体を訴えて、裁判になった。どうしてか、佐々木さんは想像できる?」
今までの会話から考えることはできる。けれど、私の口から言うには、無理があるように思えた。
私は口をかたく結んだまま、俯く。
「理由は、そのときの職員、私の同僚だった人がご遺族に対して、悪びれもなく、こう言ってしまったからなの。" 仕方なかったんじゃないですか "って」