『十五年越しの願いは、歪んだ家族に砕かれて――身ごもり秘書は幼馴染CEOの重すぎる執着愛から逃げられない』
その一言で。

胸が締めつけられた。

嬉しかった。

結果だけじゃない。

この小さな命が動いているところを。

この人も見たかったと思ってくれている。

「……次」

私は言った。

「一緒に行く?」

遼河さんが。

すぐに顔を上げた。

「ああ」

迷いは一秒もなかった。

「行く」

その返事に。

ようやく。

心の底から笑えた。

しばらくして。

遼河さんの手が、ゆっくりこちらへ伸びてくる。

でも。

お腹へ届く前に止まった。

「……触っていいか」

「何でそこで聞くの」

「何となく」

思わず笑う。

「まだ触っても何も分からないよ」

「それでもいい」

私はその手を取った。

いつもなら。

何の迷いもなく私を引っ張っていく、大きな手。

今日は自分から。

その手をそっとお腹へ導いた。

まだ何も変わっていないお腹へ。

遼河さんの手のひらが重なる。

「……ここ?」

「うん」

「ここにいるのか」

「いるよ」

小さな声で答える。

遼河さんは、それ以上何も言わなかった。

ただ。

手を置いたまま。

じっとそこを見ている。

何も見えない。

動くのも分からない。

それでも。

まるで本当にそこにいる子どもを見つめているようだった。

私は。

そんな横顔を黙って見ていた。

長い間。

叶わないと思っていた恋だった。

忘れなければならないと思っていた人だった。

日本へ帰ってきて一年半。

まさか、その人が今。

私の隣で。

二人の子どもへ手を添えているなんて。

「……嬉しい」

遼河さんが小さく言った。

私は何も言わず。

待った。

「すごく嬉しい」

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