『十五年越しの願いは、歪んだ家族に砕かれて――身ごもり秘書は幼馴染CEOの重すぎる執着愛から逃げられない』
長い沈黙が落ちた。

真崎が静かに口を開いた。

「ここからは海外分です」

ジュリアンが画面を引き継ぐ。

いくつもの会社名と送金ルートが表示された。

国内から海外。

海外から別法人へ。

さらに別の口座へ。

複雑に枝分かれしている。

けれど最後には、いくつかの名前へ収束していた。

河崎直政。

河崎志織。

長谷川仁。

「そんなもの、証拠にならない」

直政が吐き捨てる。

「名義だけならどうとでも――」

「そう言うと思いました」

聞き覚えのある声が、会議室の後方からした。

全員が振り向いた。

扉の前に、一人の男性が立っている。

私も遼河さんも立ち上がりかけた。

慎二だけが。

「あー……」

と、妙な声を出した。

真崎が目を細める。

男性はゆっくりとこちらへ歩いてきた。

三十代後半くらいだろうか。

落ち着いた表情。

けれど、その目だけは強かった。

彼は長机の前まで来ると、直政を見た。

次に早紀子。

そして蘭。

最後に、私たち全員へ視線を向ける。

「……ようやく」

小さく息を吐いた。

「全員、揃いましたね」

「あなた……誰?」

蘭が震える声で聞いた。

男性は少しだけ笑った。

「河崎充です」

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