『十五年越しの願いは、歪んだ家族に砕かれて――身ごもり秘書は幼馴染CEOの重すぎる執着愛から逃げられない』

エピローグ――幸せって、旅行も全員参加!? 待って、公私混同過ぎない!?――

晴れやかな日々というものは。

毎日が穏やかで。

何事もなく過ぎていくものだと思っていた。

でも。

どうやら違うらしい。

笑ったり。

泣いたり。

時には大変なことが起きて。

思い通りにならなくて。

それでも最後には、みんなで笑っている。

たぶん。

それが幸せというものなのだ。

――少なくとも、我が家の場合は。

「子育てをすると、親のありがたみが分かる」

よく聞く言葉だけれど。

私の場合は、少し違った。

親のありがたみを感じる以前に――。

「……私、ちゃんと梨杏のお母さんやれてる?」

時々、本気でそんな疑問を抱くほどだった。

だって。

梨杏を抱こうとすれば、父が先に抱く。

泣けば佐知子さんが飛んでくる。

少しでも咳をすれば、遼河さんが心配する。

母はカリフォルニアから電話をかけてきて、画面越しに梨杏の顔色まで確認する。

トーマスは大量のおもちゃと服を送ってくる。

藤和のお義父様とお義母様も負けてはいない。

ジュリアンは仕事帰りに顔を出す。

そして。

真崎に至っては――。

「まさー!」

梨杏が満面の笑みで両手を伸ばす。

「はいはい」

「まさー!」

「分かったから」

「まさー!」

ぎゅっ。

抱きついた梨杏が、真崎の胸へ頬をすりすりする。

真崎は完全に諦めた顔で、その小さな背中を撫でた。

私はそれを見ながら、思わず遼河さんを見る。

「……ねえ」

「何だ」

「梨杏のお気に入り、私たちじゃなくない?」

「言うな」

「真崎じゃない?」

「言うな」

……やっぱり。

遼河さんも薄々気づいていたらしい。

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