『十五年越しの願いは、歪んだ家族に砕かれて――身ごもり秘書は幼馴染CEOの重すぎる執着愛から逃げられない』
KSサイエンスの主要メンバー。

ジュリアン。

真崎。

志水さんは、奥様と一緒に参加することになった。

もちろん。

私たち三人も。

一歳五か月になった梨杏まで、立派な参加者である。

――これ。

本当に社員旅行?

家族旅行じゃなくて?

そう思ったけれど。

誰も気にしていなかった。

カリフォルニアでは、母とトーマスが待っていた。

慎ちゃんも。

そして。

充さんも。

充さんは日本でのすべてを片づけたあと。

予定通り、トーマスのもとへ移っていた。

『日本はもう十分です』

そう笑った充さんの顔は。

以前よりずっと穏やかだった。

志織さんとの親子関係も変わらず続いている。

血が繋がっているかどうかではない。

親子として過ごしてきた時間まで。

誰にも消すことなんてできない。

そして。

せっかくカリフォルニアまで来たのだからと。

当然のように予定へ組み込まれたのが――。

ディズニーランドだった。

梨杏は大興奮。

いや。

正確には。

大人たちが大興奮だった。

「梨杏、こっち!」

「写真撮るわよ!」

「待って、次あっち!」

「梨杏ちゃん、こっち向いて!」

誰のために来たのか、もう分からない。

その日の夜。

ホテルへ戻る頃には、梨杏はすっかり眠そうになっていた。

当然。

私たちの部屋へ連れて帰るつもりだった。

――はずなのに。

「今日は私たちが預かるわ」

母。

「明日は僕たち」

トーマス。

「俺もいるよ」

慎ちゃん。

「俺も見られますよ」

充さん。

「僕も問題ありません」

ジュリアン。

そして。

極めつけ。

「まさー!」

梨杏本人は、真崎へ向かって両手を伸ばした。

「……何で俺?」

「まさー!」

「はいはい」

あっさり抱き上げられている。

私は遼河さんを見る。

「……娘、取られた」

「いつものことだ」

「諦めた?」

「諦めてない」

声は低かった。

でも。

顔は完全に諦めている。

結局。

梨杏は旅行中、日替わりでみんなに可愛がられることになった。

そして、その夜。

久しぶりに。

本当に久しぶりに。

二人きりになった。

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