【完結済】すべて失った廃妃のはずが、隣国で幸せになりました ~ 追放先で加護の力が復活し、新王妃として大歓迎されています ~

13.

 新たに乗り込んだ馬車はオルセリエ王国に入り、王都へ向かって進む。
 途中の道はやや荒れており、割れた石畳や、雨で削られた轍が目についた。
 人の姿はぽつりぽつりと見えるけれど、その往来は少なく、活気が感じられない。
 商いをしている店もただ看板を掲げているだけで、客を呼び込む声も聞こえなかった。
 街並みのそこかしこに、戦の痕跡が色濃く残っている。欠けた壁、塞がれた窓、修復されないままの屋根。立て直しに手を回しきれていないのは明白だった。
 途中泊まった宿でも、同じ印象を受けた。
 最低限の設備は整っているけれど、出された食事は質素なものだった。
(王国全体が疲弊しきっているといった状態ね……)
 否が応でも、私はその事実を理解した。
 翌日、馬車がようやく王都に入ると、街並みはだいぶ落ち着いて見えた。そうして私は、ついにオルセリエ王宮へと到着した。エヴァンシア王宮を出発してから、七日間の行程だった。
 石造りのオルセリエ王宮は堂々たる構えで、城壁は高く、堅牢な造りだった。けれど衛兵の数は少ない。十分な人手を確保できていないのだろう。
 中に入ると、花や燭台、置物などの装飾は少なく、手入れの行き届いていない場所も散見された。
 侍従や衛兵らに出迎えられ、彼らの案内に従い、長い回廊を歩く。表情の乏しい侍従らに、私に対する歓迎の色は見えなかった。
 やがて、二人の衛兵が立つ重厚な扉の前で、侍従の足が止まった。彼は衛兵らに声をかける。
「エヴァンシア王国より、アリスティーヌ様のご到着でございます」
 ここが謁見の間で、中には国王セルジュ様がお待ちなのだろう。侍従の言葉を受け、衛兵らが扉を開く。
 私は一度、静かに息を整えると、室内へと足を踏み入れた。
 
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