【完結済】すべて失った廃妃のはずが、隣国で幸せになりました ~ 追放先で加護の力が復活し、新王妃として大歓迎されています ~
39.
その視察から数日が経った、ある日の午前中のこと。
セルジュ様の侍従らが、突然私の部屋を訪ねてきた。
それも、大がかりな荷物とともに。
リボンのかけられた箱を恭しく抱えた者。白い薄布で丁寧に包まれた衣装らしきものを、数人がかりで運び込む者。次々と現れる彼らの姿に、私は思わず目を瞬かせた。
困惑する私に代わり、エミナが慌てたように声を上げる。
「こ……っ、これは一体、何事ですの?」
すると、侍従の一人が静かに頭を下げ答えた。
「こちらの品々は、国王陛下より王妃陛下への贈り物にございます」
「まぁ……っ!」
その言葉に、エミナが目を丸くし、口元を押さえる。
「それはありがたくお受け取りいたしませんと。ね? アリスティーヌ様」
ロゼルの弾んだ声に、呆然としていた私は慌てて返事をした。
「えっ? ……え、ええ……。そうね」
(セルジュ様から……私に?)
こんなことは初めてだった。
数ヶ月前、景気が上向きはじめ国庫にゆとりが出てきた頃に、ドレスを二枚ほど新調してもらっていた。けれどそれは、あくまで公の場に出る時のための必要品としてであり、財務大臣からそのように説明され、渡されただけのものだった。こんな風に、セルジュ様からの贈り物としてではない。
侍従たちが退出した後、部屋の一角に置いていかれたそれらを再び呆然と眺めていると、ロゼルがそっと声をかけてきた。
「ご覧になられますか? アリスティーヌ様」
「……そ、そうね。お願い」
「承知いたしました」
ロゼルの返事とともに、エミナや他の侍女たちがそそくさと集まり、箱のリボンや衣装にかけられた薄布を外していく。ずっと二人だけだった私の専属侍女も、今では六人に増やされていた。
中から現れた衣装を目にした瞬間、息を呑んだ。
胸元から裾にかけ、小粒の宝石が流れるように施された、リネラの花を思わせる淡い水色のドレス。
装飾は控えめながらも、金糸の刺繍が随所に品良く施されている深青色のドレス。
繊細なレースがふんだんに重ねられ柔らかな光沢を帯びた、クリーム色のドレス。
「……素敵……」
思わずそう声が漏れる。エミナたちも感嘆の声を上げた。
「本当に……! とても素晴らしいドレスでございますね」
「アリスティーヌ様にお似合いになりそうな色ばかり……。特にこちらの深青色のドレスは、国王陛下の御目の色そのものですわ。陛下のお気持ちが感じられます」
「え……っ」
ロゼルのその言葉に侍女たちが目を輝かせ、一様に頷く。私の頬はじわじわと熱を持ちはじめた。
(そ……、そういう意味がこもっているのかどうかは分からないけれど……)
でもたしかに、妻は夫の色を身にまとって公の場に臨むことが多い。
もしかしたら、セルジュ様もそのおつもりで……?
そんなことを考えドキドキしていると、箱の方を開けた他の侍女たちも弾んだ声を上げた。
「アリスティーヌ様、ご覧くださいませ。素晴らしいアクセサリーの数々ですわ……!」
彼女たちが目の前に持ってきてくれた箱を覗き込み、ため息が漏れた。
繊細な装飾のイヤリングに、華奢な金細工のブレスレット。深い色合いの宝石を嵌め込んだネックレスなどが、それぞれに上品な輝きを放っている。
「……セルジュ様に、お礼を申し上げなくちゃ」
初めての贈り物にときめく心を落ち着かせるよう、そう口にすると、エミナやロゼルたちがにこやかに頷いた。
セルジュ様の侍従らが、突然私の部屋を訪ねてきた。
それも、大がかりな荷物とともに。
リボンのかけられた箱を恭しく抱えた者。白い薄布で丁寧に包まれた衣装らしきものを、数人がかりで運び込む者。次々と現れる彼らの姿に、私は思わず目を瞬かせた。
困惑する私に代わり、エミナが慌てたように声を上げる。
「こ……っ、これは一体、何事ですの?」
すると、侍従の一人が静かに頭を下げ答えた。
「こちらの品々は、国王陛下より王妃陛下への贈り物にございます」
「まぁ……っ!」
その言葉に、エミナが目を丸くし、口元を押さえる。
「それはありがたくお受け取りいたしませんと。ね? アリスティーヌ様」
ロゼルの弾んだ声に、呆然としていた私は慌てて返事をした。
「えっ? ……え、ええ……。そうね」
(セルジュ様から……私に?)
こんなことは初めてだった。
数ヶ月前、景気が上向きはじめ国庫にゆとりが出てきた頃に、ドレスを二枚ほど新調してもらっていた。けれどそれは、あくまで公の場に出る時のための必要品としてであり、財務大臣からそのように説明され、渡されただけのものだった。こんな風に、セルジュ様からの贈り物としてではない。
侍従たちが退出した後、部屋の一角に置いていかれたそれらを再び呆然と眺めていると、ロゼルがそっと声をかけてきた。
「ご覧になられますか? アリスティーヌ様」
「……そ、そうね。お願い」
「承知いたしました」
ロゼルの返事とともに、エミナや他の侍女たちがそそくさと集まり、箱のリボンや衣装にかけられた薄布を外していく。ずっと二人だけだった私の専属侍女も、今では六人に増やされていた。
中から現れた衣装を目にした瞬間、息を呑んだ。
胸元から裾にかけ、小粒の宝石が流れるように施された、リネラの花を思わせる淡い水色のドレス。
装飾は控えめながらも、金糸の刺繍が随所に品良く施されている深青色のドレス。
繊細なレースがふんだんに重ねられ柔らかな光沢を帯びた、クリーム色のドレス。
「……素敵……」
思わずそう声が漏れる。エミナたちも感嘆の声を上げた。
「本当に……! とても素晴らしいドレスでございますね」
「アリスティーヌ様にお似合いになりそうな色ばかり……。特にこちらの深青色のドレスは、国王陛下の御目の色そのものですわ。陛下のお気持ちが感じられます」
「え……っ」
ロゼルのその言葉に侍女たちが目を輝かせ、一様に頷く。私の頬はじわじわと熱を持ちはじめた。
(そ……、そういう意味がこもっているのかどうかは分からないけれど……)
でもたしかに、妻は夫の色を身にまとって公の場に臨むことが多い。
もしかしたら、セルジュ様もそのおつもりで……?
そんなことを考えドキドキしていると、箱の方を開けた他の侍女たちも弾んだ声を上げた。
「アリスティーヌ様、ご覧くださいませ。素晴らしいアクセサリーの数々ですわ……!」
彼女たちが目の前に持ってきてくれた箱を覗き込み、ため息が漏れた。
繊細な装飾のイヤリングに、華奢な金細工のブレスレット。深い色合いの宝石を嵌め込んだネックレスなどが、それぞれに上品な輝きを放っている。
「……セルジュ様に、お礼を申し上げなくちゃ」
初めての贈り物にときめく心を落ち着かせるよう、そう口にすると、エミナやロゼルたちがにこやかに頷いた。