死病の花嫁は薬商伯爵に溺愛される~大正政略結婚、不遇令嬢の幸福論~
「大丈夫です。様子を見ましょう」
そう声をかけながらも、内心では早くお医者様が来てくれることを願わずにはいられなかった。
……どれくらい経っただろうか。
ようやく玄関のほうからあわただしい足音が聞こえ、往診鞄を手にしたお医者様が部屋に入ってきた。
この家のかかりつけとは別の、遠方から駆けつけてくれた方らしい。
「失礼します。遅くなって申し訳ありません。すぐに診察しましょう」
医師は手際よく冬馬くんの口の中を診て、胸に聴診器を当てる。
真剣な表情でしばらく診察を続けたあと、ゆっくりとうなずいて表情を緩めた。
「身体に発疹が出ていないので、風邪でしょうな。扁桃腺は腫れていますが、胸の音に異常はありません。熱も、薬を飲めば心配ないでしょう」
その言葉に、鈴子さんが「ああ……」と声を漏らし、その場にへたり込みそうになる。私もホッと胸を撫で下ろした。
「熱冷ましと、喉の腫れを鎮める薬を出しておきます。それと、こちらのお嬢さんが持ってこられた生薬……葛根湯でしたか。それも一緒に煎じて飲ませてあげるといいでしょう。身体を温めて汗を出せば、熱も下がりやすくなります」
お医者様からそう言われ、私はうなずいて持参した生薬を取り出した。
そう声をかけながらも、内心では早くお医者様が来てくれることを願わずにはいられなかった。
……どれくらい経っただろうか。
ようやく玄関のほうからあわただしい足音が聞こえ、往診鞄を手にしたお医者様が部屋に入ってきた。
この家のかかりつけとは別の、遠方から駆けつけてくれた方らしい。
「失礼します。遅くなって申し訳ありません。すぐに診察しましょう」
医師は手際よく冬馬くんの口の中を診て、胸に聴診器を当てる。
真剣な表情でしばらく診察を続けたあと、ゆっくりとうなずいて表情を緩めた。
「身体に発疹が出ていないので、風邪でしょうな。扁桃腺は腫れていますが、胸の音に異常はありません。熱も、薬を飲めば心配ないでしょう」
その言葉に、鈴子さんが「ああ……」と声を漏らし、その場にへたり込みそうになる。私もホッと胸を撫で下ろした。
「熱冷ましと、喉の腫れを鎮める薬を出しておきます。それと、こちらのお嬢さんが持ってこられた生薬……葛根湯でしたか。それも一緒に煎じて飲ませてあげるといいでしょう。身体を温めて汗を出せば、熱も下がりやすくなります」
お医者様からそう言われ、私はうなずいて持参した生薬を取り出した。