死病の花嫁は薬商伯爵に溺愛される~大正政略結婚、不遇令嬢の幸福論~
「それだ」
その瞬間、背後から確信に満ちた篤志さんの声が響いた。
鏡越しに、私を真っすぐに見つめる彼の瞳とぶつかり、心臓がドキンと大きく跳ね上がる。
「牡丹は‟百花の王”と呼ばれていて、我々華族が身に着けるのにふさわしい。それに、紅梅色は琴乃によく似合う」
「あ、ありがとうございます」
彼がこんなにも真剣に着物を選んでくれるとは思わなくて、自然と胸がときめいてしまった。
私を自分の妻として迎え、周囲の冷たい目から守ろうとしてくれるその不器用な優しさが、胸を熱くさせる。
燃やされた父の形見の本は、元には戻らない。お屋敷で、またつらいことが起こるかもしれない。
だけど、ヤケドをした私の手を優しく手当てし、最高の着物を選んでくれたこの人が隣にいてくれるなら、少しずつ前を向いて歩いていける気がした。
その瞬間、背後から確信に満ちた篤志さんの声が響いた。
鏡越しに、私を真っすぐに見つめる彼の瞳とぶつかり、心臓がドキンと大きく跳ね上がる。
「牡丹は‟百花の王”と呼ばれていて、我々華族が身に着けるのにふさわしい。それに、紅梅色は琴乃によく似合う」
「あ、ありがとうございます」
彼がこんなにも真剣に着物を選んでくれるとは思わなくて、自然と胸がときめいてしまった。
私を自分の妻として迎え、周囲の冷たい目から守ろうとしてくれるその不器用な優しさが、胸を熱くさせる。
燃やされた父の形見の本は、元には戻らない。お屋敷で、またつらいことが起こるかもしれない。
だけど、ヤケドをした私の手を優しく手当てし、最高の着物を選んでくれたこの人が隣にいてくれるなら、少しずつ前を向いて歩いていける気がした。