死病の花嫁は薬商伯爵に溺愛される~大正政略結婚、不遇令嬢の幸福論~
緊張から解放された私は、ホッと小さく安堵の息を漏らす。
「着物が引き立てているわけじゃない」
気がつくと、篤志さんが内緒話でもするように私の耳もとでささやいていた。
「その美しさは琴乃自身のものだ。……俺が選んだ着物より、琴乃のほうが目立っているな」
隣に立つ篤志さんが、大広間の明るい照明を浴びながら唇の端をほころばせていた。それはどこか誇らしげな笑みに見える。
「こうして他人に妻を褒められるというのは……思った以上に悪くない気分だな」
さらりと発せられた彼の言葉に、私の心臓はふたたび早鐘を打ち始める。
普段は感情に左右されない彼の本音を聞けた気がした。その表情があまりにも素敵で、私の頬はさらに熱さを増していく。
その後、私たちのもとには、嵯峨野夫妻との親しげな様子を見ていた他の招待客が次々と挨拶に訪れた。
名だたる企業の社長や夫人たちに囲まれ、私は再び緊張して身を硬くした。
だけど篤志さんは常に私を気遣い、さりげなくリードしてくれる。それに応えるよう、私も彼の隣で必死に微笑みを絶やさないよう努めた。
「琴乃、少し手洗いに行ってくる。ここで待っていられるか?」
「はい、大丈夫です」
「着物が引き立てているわけじゃない」
気がつくと、篤志さんが内緒話でもするように私の耳もとでささやいていた。
「その美しさは琴乃自身のものだ。……俺が選んだ着物より、琴乃のほうが目立っているな」
隣に立つ篤志さんが、大広間の明るい照明を浴びながら唇の端をほころばせていた。それはどこか誇らしげな笑みに見える。
「こうして他人に妻を褒められるというのは……思った以上に悪くない気分だな」
さらりと発せられた彼の言葉に、私の心臓はふたたび早鐘を打ち始める。
普段は感情に左右されない彼の本音を聞けた気がした。その表情があまりにも素敵で、私の頬はさらに熱さを増していく。
その後、私たちのもとには、嵯峨野夫妻との親しげな様子を見ていた他の招待客が次々と挨拶に訪れた。
名だたる企業の社長や夫人たちに囲まれ、私は再び緊張して身を硬くした。
だけど篤志さんは常に私を気遣い、さりげなくリードしてくれる。それに応えるよう、私も彼の隣で必死に微笑みを絶やさないよう努めた。
「琴乃、少し手洗いに行ってくる。ここで待っていられるか?」
「はい、大丈夫です」