死病の花嫁は薬商伯爵に溺愛される~大正政略結婚、不遇令嬢の幸福論~
第六章 医者の娘として
翌々日。朝早くに篤志さんが出勤していったあと、天澤家の女中たちは忙しそうにしていた。
本日はお義母様主催の昼食会が催される日だ。
名だたる華族のご婦人方がこのお屋敷に集まり、昼食をとりながら親交を深めることだろう。
「宴席に出席した俺たちへのあてつけで昼食会を催すんだ。不快だろうけど、今日は部屋でじっとしていればいいから」
出勤前、篤志さんはそう言っていたけれど……。
食事を振る舞うなら、私も準備を手伝ったほうがいいだろう。手は足りないはず。
そう思ってそっと台所に顔を出したものの、料理は料亭から仕出しを届けてもらうらしく、私の手伝いはいらないと断られた。
きっと、お義母様から私を台所へは立ち入らせるなときつく言い渡されているのだと思う。
女中に訪問人数を尋ねたところ、二十人ほど来られるらしい。お茶を出すだけでも大変そうだ。
そのまま廊下に出ると、玄関のほうからやってきた鈴子さんと出くわした。
お義母様が食事会に呼んだのだろう。いつもより洒落た洋服を着ていて、お化粧もばっちり施されている。
「あ、おはようございます」
「何してるの? 部屋から出ないよう言われてるでしょ」
「……そうでした。私、戻りますね」
彼女はいつもこうだ。お義母様の態度を模しているのだと思う。
本日はお義母様主催の昼食会が催される日だ。
名だたる華族のご婦人方がこのお屋敷に集まり、昼食をとりながら親交を深めることだろう。
「宴席に出席した俺たちへのあてつけで昼食会を催すんだ。不快だろうけど、今日は部屋でじっとしていればいいから」
出勤前、篤志さんはそう言っていたけれど……。
食事を振る舞うなら、私も準備を手伝ったほうがいいだろう。手は足りないはず。
そう思ってそっと台所に顔を出したものの、料理は料亭から仕出しを届けてもらうらしく、私の手伝いはいらないと断られた。
きっと、お義母様から私を台所へは立ち入らせるなときつく言い渡されているのだと思う。
女中に訪問人数を尋ねたところ、二十人ほど来られるらしい。お茶を出すだけでも大変そうだ。
そのまま廊下に出ると、玄関のほうからやってきた鈴子さんと出くわした。
お義母様が食事会に呼んだのだろう。いつもより洒落た洋服を着ていて、お化粧もばっちり施されている。
「あ、おはようございます」
「何してるの? 部屋から出ないよう言われてるでしょ」
「……そうでした。私、戻りますね」
彼女はいつもこうだ。お義母様の態度を模しているのだと思う。