死病の花嫁は薬商伯爵に溺愛される~大正政略結婚、不遇令嬢の幸福論~
「お姉様おはよう。お母様が待ってるわよ」
そこへ千草さんが通りかかったけれど、私の姿などまるで見えていないみたいに無視だ。
朝の挨拶もせず、ツンとしたり不機嫌そうにされたりすることにも、もう慣れてきてしまった。
いや……本当は慣れてなどいない。いちいち傷ついて落ち込んでいたら、この家では生きていけないだけだ。
自分の部屋に戻り、お昼近い時間になると、しだいに訪問客が訪れて賑やかな話し声が漏れ聞こえてくるようになった。
天澤家の嫁としてお客様を出迎え、ご挨拶しないで本当にいいのだろうかと不安になったけれど、お義母様の言いつけに背くわけにもいかない。私はこの部屋で大人しくしているしかないのだ。
お昼になると、若い女中が私の食事を届けにやってきた。
「ご苦労様。給仕で忙しいのに運ばせてごめんなさいね。昼食会のほうは、つつがなく進んでいるかしら?」
そっと尋ねると、女中は眉尻を下げながらコクリとうなずいた。
「仕出しのお料理を若奥様にもお出ししようと思っていたんですけど、大奥様から止められてしまって……すみません」
シュンと肩を落とす彼女を見て、苦笑いをしながら首を横に振った。
膳の上にあるのは、いつもと変わらない素朴なおかずとご飯。
昼食会では豪華な食事が振る舞われているため、女中は気を使って私の膳にもそれを、と思ってくれたのだろう。その心遣いだけでうれしい。
逆に、お義母様に見つかって叱られなかったかと心配になってしまう。
そこへ千草さんが通りかかったけれど、私の姿などまるで見えていないみたいに無視だ。
朝の挨拶もせず、ツンとしたり不機嫌そうにされたりすることにも、もう慣れてきてしまった。
いや……本当は慣れてなどいない。いちいち傷ついて落ち込んでいたら、この家では生きていけないだけだ。
自分の部屋に戻り、お昼近い時間になると、しだいに訪問客が訪れて賑やかな話し声が漏れ聞こえてくるようになった。
天澤家の嫁としてお客様を出迎え、ご挨拶しないで本当にいいのだろうかと不安になったけれど、お義母様の言いつけに背くわけにもいかない。私はこの部屋で大人しくしているしかないのだ。
お昼になると、若い女中が私の食事を届けにやってきた。
「ご苦労様。給仕で忙しいのに運ばせてごめんなさいね。昼食会のほうは、つつがなく進んでいるかしら?」
そっと尋ねると、女中は眉尻を下げながらコクリとうなずいた。
「仕出しのお料理を若奥様にもお出ししようと思っていたんですけど、大奥様から止められてしまって……すみません」
シュンと肩を落とす彼女を見て、苦笑いをしながら首を横に振った。
膳の上にあるのは、いつもと変わらない素朴なおかずとご飯。
昼食会では豪華な食事が振る舞われているため、女中は気を使って私の膳にもそれを、と思ってくれたのだろう。その心遣いだけでうれしい。
逆に、お義母様に見つかって叱られなかったかと心配になってしまう。