死病の花嫁は薬商伯爵に溺愛される~大正政略結婚、不遇令嬢の幸福論~
 早足で居間へ行くと、三人ともぐったりとしていた。身体を丸めるようにして横たわり、脂汗をかいている。
 吐瀉物を触った女中たちにはしっかりと手を洗い、消毒液で殺菌しておくよう言い伝えた。
 
「お義母様……」

 眉間にシワを寄せながら、つらそうにうずくまるお義母様へ声をかけた。
 額に手を当ててみたのだが、発熱しているみたいだ。

「お義姉様、千草さん」
「う、うぅ……」

 彼女たちの症状も同じだ。みんな真っ青な顔を歪めて発熱している。

(ひどい熱だわ。早く処置をしないと……)

「みなさん、お部屋にお布団を敷きました。そちらで横になってください」
「余計なお世話よ。放っておいてちょうだい」

 お義母様の身体を起こそうとしたら、手を振り払われてしまった。
 仕方がないので女中たちに目で合図を送り、三人を布団まで誘導させて寝かせる。

「お料理は仕出しだったわよね? お義母様たちは他にも何か召し上がったの?」

 気が動転している女中たちの背をなでつつ、事情を聞いてみる。

「は、はい……仕出しのお料理と……お客様からいただいた手土産を……」

 言いながら、テーブルの上に視線を走らせた。食べかけの料理や果物などがそのまま残っている。

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