死病の花嫁は薬商伯爵に溺愛される~大正政略結婚、不遇令嬢の幸福論~
 三人が一斉に吐き下している症状からして、これらの食べ物に原因があると見て間違いなさそうだ。

「これ……生カキ?」

 卓上には半分ほど残った殻付きの生カキが皿の上に並べられていた。

「はい。仕出しの残りものだったんですが、お客様が帰られたあと、せっかくだから召し上がるとおっしゃって……」
 
(時間が経ったせいで、これが傷んでいたのかもしれないわ)

 女中たちには残った食べ物をいっさい口にしないように伝え、使った食器はていねいに洗うよう指示を出した。

「冷たい水に浸した手ぬぐいで、三人の額を冷やしてちょうだい」
「わかりました」
「あと、何か飲ませなきゃ。……水とお砂糖とお塩を。私が作るわ」

 こういうときは身体から水分が出ていってしまっているから、それを補給しなくてはいけないと、父から聞いたことがある。たしか、父が残したあの本にもそう書いてあった。
 ただの水ではなく、砂糖と塩を少し混ぜるといいらしい。

「お医者様はまだかしら?」

 そっと女中に尋ねると、申し訳なさそうにうなずくだけだった。

(お願い、早く……)

 急いで飲み物を作り、水差しとグラスを持って、横になっている三人のもとへ戻った。

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