軍医と傷読みの花嫁 ~閉じこもり薬師は、傷もちの旦那様に愛される〜



 患者の波は途切れることがなかった。
 次にやってきたのは、青白い顔をした妻と、その夫だった。妻をそっと椅子に座らせ、夫は焦った様子で話し始める。
「先生、妻がここ数日ずっと気分が悪いようで……食欲もなくて、食べても吐いてしまうんです」
 将臣が一通りの診察を終えて、ゆっくり聴診器を外した。そして、静かに尋ねる。
「……月のものは、いつ頃でしたか」
 妻が夫をちらりと見つめた。
「そういえば……遅れております……」
 将臣がそっと凪に目配せをする。
 凪は優しく妻に語りかけた。
「ご懐妊の可能性がありますね」
「……まあ」
 妻が口元に手を当て、目を丸くする。
「お薬は、いったん控えたほうがよろしいでしょう。今は温かいお湯を飲んで、どうかお身体を休めてくださいね」
「ありがとうございます……! ずっと恵まれなかったもので……まさか……っ!」
 夫は感動のあまり、将臣の手を固く握りしめた。
「先生たち、息がぴったりですねぇ」
 妻も目尻を下げて微笑んだ。
 夫婦は互いを慈しみ合いながら、晴れやかな顔で帰っていった。





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