軍医と傷読みの花嫁 ~閉じこもり薬師は、傷もちの旦那様に愛される〜
二人を見送ったあと、将臣と凪は晴れやかな顔で店先に立った。
真新しい暖簾を、二人で掲げる。柔らかな風が吹き抜け、山吹色の暖簾がふわりと大きく揺れた。
『麒麟堂医院』
その文字を、凪はじっと見上げた。
隣には、愛する将臣。
足元には、すり寄る結丸。
店の中には、温かく見守る父・源一郎。
凪は一人ひとりの姿を、愛おしそうに確かめていく。
(兄様……)
胸の奥が、どこまでも温かく満たされていく。
(ありがとうございます……。どうか、これからの私を見ていてください)