軍医と傷読みの花嫁 ~閉じこもり薬師は、傷もちの旦那様に愛される〜
「将臣様、荷物をありがとうございます」
二人で並んで歩き出す。
「あと、どこを回るんだ?」
「はい。野菜を少し買おうと思いまして」
歩きながら、ふと簪屋の前で将臣の足がわずかに止まる。店先に並ぶ色鮮やかな簪へ、じっと目を向けた。
しかし──青果店で秋茄子を真剣に選ぶ凪を見て、小さく息をつく。
(簪は……今度でいいか。どれがいいのか、選べないな)
「やっぱり、ふっくらとしている茄子の方が美味しそうですよね」
真剣に尋ねる凪に、将臣はふっと心が温かくなる。
「どれがいいかは分からん。だが、凪が作れば、どんな茄子でも美味しくなるだろう」
つい、心の声が漏れてしまう。将臣が顔を赤らめ焦って顔を上げると、凪も頬を染めていた。
「で、では……これを買って帰りますね」