軍医と傷読みの花嫁 ~閉じこもり薬師は、傷もちの旦那様に愛される〜
17話 ぬくもりと恋愛ごっこ
「犯人に接見しただと?」
ベッドの上で座っていた将臣は、晴臣の話を聞いて、つい声が裏返った。
「凪と一緒に行ってきたんだ。恨んでいるのは兄上じゃない、何もできなかった自分だって。だから一生懸命生きようって、凪が諭してた」
晴臣が膝に手を置き、静かに言った。
「凪が……」
「兄上が自分の盾になってくれたから、今度は自分が助けるんだって、一人で突き進んでさ」
(私を救おうと……)
将臣の胸の奥がじわりと温かくなる。
「私も……凪に守られていたんだな」
将臣はそっと脇腹の傷口に手を当てた。
「凪はどうしている?」
「家で迎える準備をするって」
「だから、お前一人できたのか」
「……俺、兄上にきちんと謝りたくて……簪の件、騙してごめん」
勢いよく頭を下げた。
「もういい」
晴臣は、将臣の顔を伺うように、ゆっくりと顔を上げた。
「今回も、晴臣のおかげで助かったんだ。ありがとうな」
晴臣は頭を強く振る。
「兄上が……生きていてよかった!!」
震え出す声に負けないように、晴臣は声を張った。
健気な弟を見て、将臣も目尻を下げた。
「私も……生きていてよかった」
「兄上、退院おめでとう!」
ずっと鼻を啜る晴臣の頭を、将臣は微笑みながら、そっと撫でた。