先生と、時々涙雲
「失礼しまーす」
文化祭当日の職員室は静かな空間。
「藤花?」
「あ、先生!」
そこに現れたのはドラキュラのマントを身につけた先生。
「どした?」
「……あ、えっと、お財布が廊下に落ちてて」
「お、拾ってくれてありがとな、藤花」
「…………」
あんまりにもかっこいい先生のことを見ていたら、時間が止まったみたいに思えた。
「どした?ぼーっとして」
「……先生、かっこよすぎるよ」
「マントだけだし、そんな変わんないだろ……」
ポロッと出た私の一言に先生も少し顔が赤くなっている。
「ぎゅってしてほしい」
「……藤花」
「あ、え?私今なんて!?う、うそです!うそ……っ」
思わず心の中の声がダダ漏れてしまって
気づいたら私は
「この中にいればバレないだろ」
先生のマントの中にいた
「先生、わたしやばいかも。」
「……俺もやばいから、大丈夫」
我に返った先生は私をゆっくりと、マントから離した
「あと1年、我慢しなきゃいけないのは俺の方だな、ごめんな。」
「ううん、私嬉しかった!」
「……誰かに見られたらまずいから、もう戻った方がいいぞ」
「わかりました」
心臓の鼓動が鳴り止まないまま
失礼しましたーなんて言ってわたしは廊下を歩く