感情が味で分かる令嬢は、偽りの愛を見抜きます~婚約者は腐った生ゴミ味、冷酷な第二王子は極上の味でした~【短編】
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二人は完全なる政略結婚だ。
余程のことがない限り、王太子妃になる未来は避けられない。
シャルロッテは高位貴族なので、国や家門のためにも愛のない結婚を受け入れるつもりだった。それは高貴なる者の義務だと考えている。
だが、あの壮絶な生ゴミ以下の味は耐えられない。
高級料理の味は叶わなくともせめてカチカチの黒パンくらいの味になればと、シャルロッテはエドゥアルトとの距離を縮めようと頑張ったが、腐った味は全く変化しなかった。
どうやら、エドゥアルトは途轍もなくシャルロッテのことが嫌いらしく、その感情が覆るとこはなさそうだ。
もうお手上げ状態の彼女は、その『余程のこと』を探すことにしたのだ。
お誂え向きにも、エドゥアルトはローゼ男爵令嬢という秘密の恋人がいた。婚約者は不貞をおこなっていたのである。
ここを攻めればなんとか婚約解消に持っていけないかと考えたが、必ず後継が必要な王族は第二第三の夫人を娶ることが許されている。
抜け目のない彼は、きっとシャルロッテとの婚姻後に不妊やら何らかの理由をつけて、男爵令嬢を側妃として迎え入れることだろう。
(だったら、最初から男爵令嬢と結婚すればいいのに……)
そんな風に今日も悩んでいたら、近くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。もうあの声を聞くだけで地獄の味の記憶が蘇って、彼女は思わず柱の陰に隠れた。
シャルロッテの前を、弾んだ男女の声が通り過ぎていく。
視線で追うと、王太子とその取り巻き、そして男爵令嬢が楽しそうにお喋りしながら歩いていた。
「あ……」
不意に、エドゥアルトがローゼの名前を呼んだ。
同時に、爽やかなミントチョコの味が微かにシャルロッテの舌に乗った。それはもう、愛情のこもった極上の味で。
「……」
シャルロッテは、物欲しげな様子で彼らを見送る。
正直、彼女自身も婚約者を愛する気持ちは全くないのだが、あんな風に毎日美味しい味を貰えると思うと羨ましかった。