感情が味で分かる令嬢は、偽りの愛を見抜きます~婚約者は腐った生ゴミ味、冷酷な第二王子は極上の味でした~【短編】
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貴腐ワインを手にして会場に舞い戻ったシャルロッテは、すぐにはアルトゥールのもとへ行く気が起きなかった。意味もなく、会場内をうろついてしまう。
これから婚約者が何を行おうとしているのか手に取るように分かって、彼の凶悪さに震えと冷や汗が止まらなかった。
(わたくしもアルトゥール殿下も、破滅するしかないの……?)
右手にあるグラスの中の液体には、おぞましいものが入っている。
これまで学んだ知識を総動員させると、おそらく即効性のある毒薬だろう。
王族を害した罪は重い。
シャルロッテはその場で捕えられ、弁明の場を与えられぬまま処刑台へ送られるだろう。
そのまま第二王子が毒殺されれば、第一王子は王位継承の危機に怯える必要もなく、学園卒業後になんの障害もなく立太子だ。
仮にアルトゥールが生き残っても、毒薬の後遺症が残る可能性が高い。
そうなると、彼に玉座は荷が重い王位継承からは外されるし、第二王子を支持していた勢力も解散するだろう。
まさしく、エドゥアルトと恋人のローゼだけが得をする素晴らしい筋書きだ。
(わたくしは……これまで、なんのために……)
不意に涙がこぼれ落ちそうになったが、侯爵令嬢としての矜持が、感情の決壊を押し止めた。
「……」
少しして、俯きがちだった顔をパッと上げる。彼女の瞳には、諦念や絶望の文字は映っていなかった。
(今夜でもうエドゥアルト様との関係は終わったも同然ね。わたくしがどうなっても、何の罪のないアルトゥール殿下だけはお守りしなければ……!)
少ししか会話をしていなが、アルトゥールの言葉からは感動を覚えるような味しかしなかった。
これは、彼は自分に対して好感を持っている証拠だろう。
対して婚約者のエドゥアルトの味は、これまで出会った人物たちの中で、これ以上酷い味はないくらいの超絶ゲロマズ。
どちらを選択するかと問われたら、そんなの、もう決まっている。