リーガル・ラブ〜イケメン弁護士はお堅い彼女のハートを盗みたい〜
この罪は?
「このカフェは、エッグベネディクトやフレンチトーストが人気なのですが、少し変わったメニューもおすすめです。例えばバジルを生地に練りこんだラビオリは、中にエビやホタテ、ポルチーニなどを包んでありますし、ボルシチのパイ包み焼きも美味しいです。ピロシキも本場ロシアの味わいが楽しめますよ」
「へえ、迷うな。このクロックマダムっていうのは?」
「こちらはクロックムッシュにポーチドエッグを載せたもので、トロリと卵の黄身が絡む絶品です」
「じゃあ、それを君に」
「いただけません」
「だろうね」

クスッと笑うと壮志は改めて優香に向き直った。

「色々と本当にありがとう、戸倉さん。俺はこのままカフェで食事をしていくよ」
「かしこまりました。それでは、わたくしはここで失礼させていただきます」

お辞儀をすると、優香は踵を返してメインロビーに戻る。

カウンターから夏希が「お帰り。どうだった?」と声をかけてきた。

「ただいま。無事にクリーニングバッグをお渡しして、使い方の説明も済ませたよ。古賀様の登録情報にチェック入れておくね。これで全て完了かな?」
「そうだね。念のため他も確認しておこうか」

二人でパソコンに向かい、入居者情報を呼び出してチェック漏れがないかを確認していく。

しばらくすると顔見知りのカフェの男性スタッフ、西田(にしだ)がやって来た。

「お疲れ様です。これ、先ほどのお客様から戸倉さんへの差し入れです」

え?と優香は首をかしげる。

「先ほどのお客様って、古賀様のことですか?」
「あー、ごめん。お名前までは聞いてない。けど、さっき戸倉さんと一緒にメニュー選んでた方だよ。やたらかっこいいイケメン」

優香と同い年位の西田はそう言って、紙袋を差し出した。

「クロックマダムとアイスカフェモカです。あ、ちなみにそのお客様から妙な質問もされた」
「妙な質問って、どんな?」
「このマンションは、住人がスタッフに差し入れをしてはいけないという規則があるのかって。もちろん『そんな規則はありません』って答えといたよ」

何の疑いもなく明るく笑う西田の言葉に、優香は、しまった……とばかりに顔をしかめる。

「ん? どうかした?」
「いえ、なんでも。届けてくださってありがとうございます、西田さん。いただきますね」
「どうぞ。マスターがベーコンとチーズたっぷりにしておきましたよって。それじゃあ」

優香に紙袋を手渡して西田が立ち去ると、夏希が顔を寄せて訊いてきた。
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