リーガル・ラブ〜イケメン弁護士はお堅い彼女のハートを盗みたい〜
(んー、なんて美味しいのかしら)

バックヤードの休憩室で、優香はうっとりしながらクロックマダムを味わう。

表面をカリッと焼いたホットサンドの中にベーコンとチーズがたっぷり挟んであり、そこにトロリと半熟の卵が絡んで口の中に広がった。

(はあ、もう大満足。古賀様にお礼を言わないと)

ペロリと平らげ、カフェモカを飲みながら考える。

(ありがとうございましたって伝えるだけでいいかな? 何か品物を渡すのはだめよね)

そこまで細かい規則はないのだが、『住人との適切な距離を保ち、平等に接すること』という決まりはある。

全ての方に心からの誠意で尽くすこと。
立場をわきまえて距離感を保ち、プライベートに踏み込まないこと。

それはかつて「あの人だけ特別扱いしている。共用施設の予約も優先してるんでしょ?」と年輩の方に言われたり、「コンシェルジュの立場を利用して、結婚相手としてよさそうな人に取り入ろうとしてる」と噂が立ってから意識していることだった。

(古賀様が普通の知り合いならお礼の品を考えるけど、コンシェルジュと入居者様の間柄だもんね。それを忘れちゃいけないわ)

しかも相手は弁護士なのだ。うっかり法に抵触することがあれば即座に訴えられかねない。

(世の中には私の知らない罪名がたくさんあって、色々怖いもんね。この差し入れも、賄賂を受け取ったと思われたらどうしよう。古賀様には他の方と平等というよりも、10歩下がって接するくらいでちょうどいいかも)

うん、そうしようと優香は自分に言い聞かせた。
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