リーガル・ラブ〜イケメン弁護士はお堅い彼女のハートを盗みたい〜
ゆっくりとカフェでの食事を楽しんでから、優香はその日の業務につく。
しっかり身体を休めたせいか、いつもより疲れもなく、21時半までの勤務を順調に終えた。
「それではお先に失礼します」
準夜勤のコンシェルジュに挨拶してから、更衣室で私服に着替える。
(古賀様、そろそろお帰りになるかな? それとも今夜も深夜になるのかしら)
まったく時間は読めないが、とにかくサウスタワーに行ってみることにした。
ロビーのソファに座り、バッグからタブレットを取り出して業務内容を確認していると、30分ほど経ったところでエントランスから壮志が入って来るのが見えた。
「古賀様!」
会えたことが嬉しくて笑顔で駆け寄ると、壮志は驚いたように立ち止まる。
「どうした?」
「はい、あの。昨夜のゲストルームの宿泊代をお支払いしようと思いまして」
「必要ないよ。俺が泊まってと頼んだんだから」
「ですがコンシェルジュが、住人の方が予約されたゲストルームに泊まるのはよろしくありませんので」
そう言って宿泊代を入れた封筒を差し出す。
住人へのサービスを兼ねたゲストルームとあって1泊1500円と破格なのだが、少し多めに2000円包んであった。
だが、封筒を見た壮志は顔をしかめる。
「コンシェルジュと住人が金銭の授受なんていいの?」
「よ、よくないです。でもこれは金銭のやり取りではなく、ゲストルームの代金のお支払いです。宿泊したのはわたくしですから、わたくしが支払うのは当然ですよね?」
すると壮志は、んー、と腕を組んだ。
「ここで俺がお金を受け取る方が問題だよ。コンシェルジュが住人に頼んで、ゲストルームの予約を依頼したと捉えられかねない」
「えっ、そんな」
「今のままなら、あくまで俺が知り合いのためにゲストルームを予約しただけってことになる。君は確かにここのコンシェルジュだけど、宿泊したのは勤務時間外だったのだから何も問題はない」
「……本当に?」
「弁護士の言葉が信じられない?」
「いえ、まさか」
優香はブンブンと首を横に振る。
「じゃ、そういうことで」
壮志はそのまま立ち去ろうとするが、優香は「あの!」と呼び止めた。
「まだ何か?」
「はい。えっと、法に触れないお礼の仕方はありませんか?」
壮志は一瞬キョトンとしてから笑い出す。
「ははっ! 難しいなあ」
「え、そうなのですか?」
「ああ、すごい難問だよ。俺は何もいらないと言っているのに、君は何かしたいと言う。だけどコンシェルジュと住人という立場を考えると、お金や品物は渡せない」
「でしたら、その……。お部屋のお掃除とか、お食事を作らせていただくというのは?」
「俺の部屋に来てくれるの?」
優香はハッとして首を振った。
「いえ、行けません」
「じゃあやっぱり難問だ。という訳で、本当に何もしなくていいよ。じゃあ」
背を向ける壮志にまたしても呼びかける。
「あの! それなら、そう、カーテン!」
「ん? カーテン?」
「はい。カーテンを買い足したいって前におっしゃってましたよね? 種類の違うカーテンをご提案させていただけませんか?」
「へえ、それはお願いしたいな」
ようやく道が開けたとばかりに、優香は前のめりに頷いた。
「はい、ぜひお手伝いさせてください」
「わかった。君の次のオフはいつ?」
「明日です」
「そうか。それなら明日、朝10時にここで待ってる。もちろん私服で着て」
「え? あ、はい」
「じゃあ、また明日」
「はい。おやすみなさいませ」
トントン拍子に話が進んでポカンとしたものの、ようやくお返しができると優香は嬉しくなった。
しっかり身体を休めたせいか、いつもより疲れもなく、21時半までの勤務を順調に終えた。
「それではお先に失礼します」
準夜勤のコンシェルジュに挨拶してから、更衣室で私服に着替える。
(古賀様、そろそろお帰りになるかな? それとも今夜も深夜になるのかしら)
まったく時間は読めないが、とにかくサウスタワーに行ってみることにした。
ロビーのソファに座り、バッグからタブレットを取り出して業務内容を確認していると、30分ほど経ったところでエントランスから壮志が入って来るのが見えた。
「古賀様!」
会えたことが嬉しくて笑顔で駆け寄ると、壮志は驚いたように立ち止まる。
「どうした?」
「はい、あの。昨夜のゲストルームの宿泊代をお支払いしようと思いまして」
「必要ないよ。俺が泊まってと頼んだんだから」
「ですがコンシェルジュが、住人の方が予約されたゲストルームに泊まるのはよろしくありませんので」
そう言って宿泊代を入れた封筒を差し出す。
住人へのサービスを兼ねたゲストルームとあって1泊1500円と破格なのだが、少し多めに2000円包んであった。
だが、封筒を見た壮志は顔をしかめる。
「コンシェルジュと住人が金銭の授受なんていいの?」
「よ、よくないです。でもこれは金銭のやり取りではなく、ゲストルームの代金のお支払いです。宿泊したのはわたくしですから、わたくしが支払うのは当然ですよね?」
すると壮志は、んー、と腕を組んだ。
「ここで俺がお金を受け取る方が問題だよ。コンシェルジュが住人に頼んで、ゲストルームの予約を依頼したと捉えられかねない」
「えっ、そんな」
「今のままなら、あくまで俺が知り合いのためにゲストルームを予約しただけってことになる。君は確かにここのコンシェルジュだけど、宿泊したのは勤務時間外だったのだから何も問題はない」
「……本当に?」
「弁護士の言葉が信じられない?」
「いえ、まさか」
優香はブンブンと首を横に振る。
「じゃ、そういうことで」
壮志はそのまま立ち去ろうとするが、優香は「あの!」と呼び止めた。
「まだ何か?」
「はい。えっと、法に触れないお礼の仕方はありませんか?」
壮志は一瞬キョトンとしてから笑い出す。
「ははっ! 難しいなあ」
「え、そうなのですか?」
「ああ、すごい難問だよ。俺は何もいらないと言っているのに、君は何かしたいと言う。だけどコンシェルジュと住人という立場を考えると、お金や品物は渡せない」
「でしたら、その……。お部屋のお掃除とか、お食事を作らせていただくというのは?」
「俺の部屋に来てくれるの?」
優香はハッとして首を振った。
「いえ、行けません」
「じゃあやっぱり難問だ。という訳で、本当に何もしなくていいよ。じゃあ」
背を向ける壮志にまたしても呼びかける。
「あの! それなら、そう、カーテン!」
「ん? カーテン?」
「はい。カーテンを買い足したいって前におっしゃってましたよね? 種類の違うカーテンをご提案させていただけませんか?」
「へえ、それはお願いしたいな」
ようやく道が開けたとばかりに、優香は前のめりに頷いた。
「はい、ぜひお手伝いさせてください」
「わかった。君の次のオフはいつ?」
「明日です」
「そうか。それなら明日、朝10時にここで待ってる。もちろん私服で着て」
「え? あ、はい」
「じゃあ、また明日」
「はい。おやすみなさいませ」
トントン拍子に話が進んでポカンとしたものの、ようやくお返しができると優香は嬉しくなった。