リーガル・ラブ〜イケメン弁護士はお堅い彼女のハートを盗みたい〜
「よかったら上がる?」

玄関のドアを開けた壮志が振り返って尋ね、優香は首を振る。

「よくないので上がりません」
「ブレないね。さすがだ」

クスッと笑ってから一人で玄関に入り、ものの1分ほどで戻って来た。

カットソーの上にリネン素材のネイビーのサマージャケットを羽織り、手には車のキーを持っている。

「お待たせ。ショールームの場所はわかる?」
「はい、先ほど地図で確かめましたから。専用の駐車場も隣接されているそうです」
「さすが。仕事ができるね」

先ほどから何やら含んだ言い方をされているような気がして、優香はエレベーターの中で唇を尖らせる。

「ん? どうしたの? なんか可愛くなってるけど」
「はい!?」

急に壮志に顔を覗き込まれて、慌てて離れた。

「いつも隙のないコンシェルジュの戸倉さんにも、こんな一面があったんだ」
「ど、どんな一面でしょう?」
「んー、そうだな。唇を尖らせて拗ねたり、照れて顔を赤くしたり、ちょっと涙目ですがるように見つめてきたり」
「わたくしが、いつそのような?」
「ほら、今も。眉が八の字になってて可愛いよ」

優香は視線を落とすと、指で眉間のシワをグリグリと伸ばす。

「ははっ! 可愛いね」
「どこがですか?」
「普段は完璧なコンシェルジュなのに、今は普通の女の子って感じなのが」

そこまで言うと、急に壮志は真顔になった。

「どうかしましたか?」
「いや、うん。ごめん、あまりに配慮が足りなかった。君と二人で出かけるなんてよくないな。恋人に申し訳が立たない」
「恋人って、古賀様のですか?」
「いや、俺はいないよ。君の恋人にだ。やっぱりショールームへは俺一人で行く」
「あの、わたくしも恋人はおりませんので、特に問題はございませんが」
「そうなのか? でも……」

エレベーターが地下駐車場に着き、ポンと扉が開いても、壮志は考え込むようにうつむいたまま動かない。

優香は扉を手で押さえて壮志を促した。

「行きましょう。わたくしが責任持ってご案内しますから」

戸惑うように顔を上げた壮志に笑いかけると、壮志も頬を緩めて頷いた。
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