リーガル・ラブ〜イケメン弁護士はお堅い彼女のハートを盗みたい〜
カフェを出ると、しばらくぶらぶらとモールの中を見て回る。

「とっても広いですね。いろんなお店があって目移りしちゃいます」
「普段はショッピングに出かけたりしないの?」
「そうですね、めったに行かないです。年中無休の職場なので、休みのシフトが友達となかなか合わなくて」
「なるほど。それなら今日は見たいところゆっくり見て回るといい」

そう言われても、自分の買い物に壮志をつき合わせる訳にはいかないと、優香は通路を歩きながらさり気なく店頭のディスプレイを眺めるだけにしていた。

(あ、浴衣だ)

色とりどりの浴衣がズラリと並んだ特設展示スペースがあり、思わず優香は足を止める。

「ん? ああ、浴衣か。そう言えば新調したいって言ってたね」
「はい。マンションの夏祭りで着たくて」
「せっかくだから選んだら?」
「よろしいでしょうか?」
「もちろん」

笑顔で言われて、優香は少しだけ見てみることにした。

(わあ、可愛い柄がたくさんある)

紺色に朝顔や金魚が鮮やかなものや、朱色に伝統文様が描かれたレトロなものなど、テイストや色の種類がありすぎて逆に決められない。

すると壮志がふいに足を止めた。

「これ、君のイメージにぴったりだ」
「え?」

それはラベンダーカラーに百合の花が描かれた浴衣で、きれいな色合いは優しく清楚な印象だった。

「素敵ですね。でも、私に似合うかな?」

自信なさげに呟くと、壮志が大きく頷いてみせた。

「もちろん。絶対に似合う。俺、弁護士だから嘘つかない」

優香はぱちぱちとまばたきしてから思わず吹き出して笑う。

「ふふふっ、そんなムキにならなくても」
「こうでも言わないと、君は信じないだろう?」
「では、弁護士さんは嘘をつかないと信じてこれにします」
「ああ。君に似合うと思う」

優香は帯と下駄、かんざしや帯飾りも選んで会計を済ませる。

「よかった、これで夏祭りの準備はバッチリです」

すると壮志は「俺も覗きに行くよ」と言いつつ、さり気なく優香の手から紙袋を受け取った。

「え、ありがとうございます」
「これくらい。それよりどこかで飲み物でも買おうか」

天気に誘われて外に出てみると、キラキラと水面が輝く運河に面した広場があった。

「気持ちいいですね」
「ああ。そこのパラソルの下で休憩しようか」
「はい」

キッチンカーで冷たいドリンクを買い、大きな白いパラソルの下のベンチに並んで座った。
< 33 / 99 >

この作品をシェア

pagetop