リーガル・ラブ〜イケメン弁護士はお堅い彼女のハートを盗みたい〜
夏祭り
マンションの夏祭りの日がやって来た。

その日は金曜日で、少し離れた地域の花火大会がこのマンションからも観られそうだと、お祭りのあとはタワーのルーフトップテラスでドリンクと軽食が振る舞われるとのこと。

壮志は仕事を17時に終えて帰宅すると、着替えてからガーデン中央の広場に向かう。

浴衣姿のコンシェルジュたちが屋台の店番をしており、ひときわ目を引くきれいな優香はすぐに見つかった。

ショッピングモールで壮志が薦めたラベンダーカラーに百合が描かれた浴衣を着て、笑顔で子どもたちのヨーヨーすくいを見守っている。

(やっぱり浴衣がよく似合う。きれいだ)

思わず目を細めてから、近づいて「こんばんは」と声をかけた。

「古賀様! こんばんは。お仕事はもう終わったのですか?」
「ああ、急いで終わらせてきた。お祭りを楽しみにしていたからね。へえ、色んな屋台があるんだな」

ぐるりと辺りを見渡すと、わたあめやベビーカステラ、イチゴ飴にチョコバナナ、お面や射的や輪投げや水笛、スーパーボールすくいにたこ焼きやお好み焼きなど、様々な屋台が並んでいた。

水を張ったバケツが置かれた一角では、手持ち花火を楽しむ家族もいる。

「賑わってるね。いいな、この雰囲気。お祭りの屋台なんて久しぶりだ」
「お一人3枚ずつチケットをお渡ししているので、古賀様もどうぞ 」
「え、もらえるの? じゃあ何かやってみようかな」

するとしゃがんでヨーヨーすくいをしていた男の子が顔を上げた。

「お兄ちゃん、あれ取れる? ゴールドのヨーヨー」
「あれか? よーし、見てろよ」

壮志は優香から小さなS字の針金がついたこよりを受け取ると、男の子の横にしゃがんで狙いを定める。

タイミングを計ってスッと輪ゴムに針金を引っかけ、素早く静かに引き揚げた。

「わー、すごい! やったね、お兄ちゃん」

喜ぶ男の子に、壮志はどうぞとヨーヨーを差し出す。

「えっ、いいの? ありがとう!」

後ろにいた母親らしき女性にも「すみません、ありがとうございます」と頭を下げられた。

「こんなことくらいでそんなに喜ばれるとは」
「いとも簡単にサッとすくうから。かっこよかったですよ、古賀様」
「そうなの? ヨーヨーすくいで?」
「はい。子どもたちにとってはヒーローです」
「そんな大げさな」

優香は、ふふっと微笑むと、しゃがんでヨーヨーを補充する。

髪を結った優香の、浴衣からのぞくうなじが色っぽく、壮志は思わずドキッとした。
< 39 / 99 >

この作品をシェア

pagetop