リーガル・ラブ〜イケメン弁護士はお堅い彼女のハートを盗みたい〜
帰り道。
夜のとばりが下りる頃に海ほたるに到着した。

「朝とはまた違った雰囲気ですね。夜の海が月明かりに照らされてきれい」
「そうだな」

軽く食事を済ませたあと、展望デッキのベンチに並んで座り、静かに海を眺める。

「優香、これ着てろ」

壮志はジャケットを脱ぐと、優香の肩に掛けた。

「大丈夫です」
「いいから」
「でも壮志さんが風邪引いちゃう」
「それならこうしよう」

そう言って壮志は左手で優香の肩を抱き寄せる。

「あったかい。壮志さん、体温高いですね。シャチと同じで恒温動物?」
「そうだけど。って、いや待て。優香も恒温動物だぞ?」
「そうなんですか?」
「当たり前だ。人間なんだから」
「そっか、ふふふ」

微笑んだ優香が再び遠くの海に視線を戻し、その横顔がどこか寂しげに見えて壮志は思わず「優香?」と尋ねた。

「はい」

返事をして振り向いた優香がじっと壮志を見つめる。

「どうかしましたか?」
「……ごめん。優香が、どこかに行ってしまうような気がして」
「え?」

優香は何かを考えるように首をかしげてから、壮志の肩にトンと頭をもたれかけた。

「優香、どうした?」
「ううん。ちょっと、こうしていたくて」
「……そうか」

壮志はさらにグッと優香の肩を抱き寄せ、右手でそっと頭をなでる。

「壮志さん」
「ん?」
「……何でもないです」

小さく呟く優香がはかなげで、壮志の胸に切なさが込み上げてきた。
口を開こうとするが、何を言えばいいのかとためらう。

(優香……)

結局言葉にはできず、壮志は優香の髪にそっと優しく口づけた。
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