リーガル・ラブ〜イケメン弁護士はお堅い彼女のハートを盗みたい〜
大浴場は誰もおらず、壮志はパノラマの夜景を見下ろしながら一人のびのびと温泉で温まる。

(そうか、ここは全室に客室露天風呂がついてるもんな。みんな部屋で恋人と過ごすんだろう)

空いているのは嬉しいが、自分も優香と一緒に部屋の露天風呂を楽しみたかったのが本当のところ。

(いや、まだだめだ。優香は若いし、特別に純真な子なんだ。大切にしなければ)

今夜手を出さない自信は、はっきり言うとない。
けれど優香が怖がることは決してしないと心に誓った。

なるべく時間をかけてから、そろそろいいかと部屋に戻る。

ルームキーをかざしてドアを開けると、中はうす暗かった。

「優香?」

声をかけてみるが返事はない。

人感センサーのテラスの照明も点いていないから、恐らくもう上がったのだろう。

(そうすると、2階か)

壮志は螺旋階段を見上げてから、トントンと上がる。

「優香? もう寝たのか?」

照明は明るいが、やはり返事がない。

不思議に思いつつ一番上まで階段を上がり切って、壮志はハッとする。

「優香!?」

優香はバスローブ姿でドレッサーの上にぐったりと突っ伏していた。
かたわらにドライヤーが置いてあり、どうやら髪を乾かしていたところだったらしい。

「優香、どうした?」

すぐさま抱き起すと、クタリと身体を預けてくる。
その頬は赤く染まっていた。

「優香、優香?」

声をかけると、優香が気だるそうにまぶたを上げる。

「ん……、壮志さん?」
「よかった。優香、水は飲んだか?」
「ううん。身体が重くて」
「脱水症状だな。今、水を持って来る」

壮志は優香を抱き上げてベッドに寝かせると、窓際のカウンターの下の冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。

「優香、これ飲んで」

背中に腕を回して半身を支え、ゆっくり水を飲ませる。

優香はひと口飲むと、そのあとは一気にごくごくと半分ほど飲み干した。

ふう、と息を吐く優香を、再びそっとベッドに寝かせる。

(これでひと安心だな。やっぱり俺が部屋で待っているべきだった。ごめん、優香)

そう後悔しつつ、壮志はスーッと眠りに落ちていく優香の頭を優しくなでていた。
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