銀河の雫
ジョン・F・ケネディ国際空港に降り立つ。
今回のニューヨーク支局立ち上げは、かなり大がかりなプロジェクトだ。
起業を志す日本人に融資をする、政府系機関の発足を中心となって担うことになる。
入国審査へ続くガラス張りの長い通路をゆっくりと歩く。
思えば、大学卒業後、幹部候補としてこの政府系企業に入社。
東日本大震災の復興支援の後、カンボジア、バングラデシュと後進国を渡り歩いてきた。
幹部へ上り詰めるためには、キャリアの礎として日本へ帰国し、現場の感覚を取り戻す必要があった。
歩みを進めると、辺りが急に開け、入国審査の長い列が見えてくる。
若者の機会損失を少しでも減らしたいとの思いで、迷わず教育ローンセンター勤務を願い出た。
それから、融資の審査を通して日々奮闘してきた。
……それは俺にとって、やりがいのあるものだった。
けれど、企業人として最も尊敬する橘統括本部長から、もっと大きなプロジェクトを担うべきと、言われ続けていたのは確かだ。
スーツケースを引き、空港を歩きながら彼女の言葉をふと思い返す。
『所長はあのとき、ごめんって言いました』
『それが答えだと受け取りました』
『遊びだったってことですよね、私に責任持てないって、そういう意味ですよね』
彼女のまっすぐな眼差し。
俺は何も応えることができなかった。
そもそも、踏み出してはいけなかったのだ。
軽率な行動が、彼女を深く傷つけてしまった。
なんて、馬鹿なことをしてしまったんだろう……