世界で一番大切な親友へ
かすかなノイズ
六月に入ると、それまでのカラリとした空気は鳴りを潜め、じっとりとした梅雨の気配が街を包み込み始めた
どんよりとした曇り空からは、今にも雨が降り出しそうな湿った風が吹いている。
「ねえ、美優。今日の体育、合同授業でシャトルランだって」
休み時間の教室で、乃愛が机に突っ伏したまま、憂鬱そうな声をあげた
いつもなら、どんなに憂鬱な授業でも美優を励ます側に回る乃愛が、珍しく最初から気のない様子を見せている
「げっ、最悪……。あの、走っても走っても終わらないやつでしょ? 雨なら体育館で自習にすればいいのにね」
「本当にね……」
乃愛の返事はどこか上の空で、その顔色は心なしかいつもより白く見えた
「乃愛、もしかして寝不足? なんか元気ないじゃん」
「ううん、ちょっと低血圧なだけ。梅雨の時期って、どうしても身体が重くなっちゃうよね」