世界で一番大切な親友へ
乃愛は無理に口元を上げて微笑むと、自分の頬を両手でパチリと叩いた


「よし、着替えに行こ!」と立ち上がった乃愛の背中を追いかけながら、美優はほんの少しだけ胸の奥がざわつくのを感じた


けれど、それは「気のせい」という引き出しにすぐにしまわれてしまった


体育館の中は、湿気と生徒たちの熱気で蒸し風呂のようになっていた


ピー、という無機質な電子音が響き渡り、女子生徒たちが一斉に走り出す


美優は運動部ということもあり、小気味よいペースで距離を重ねていった。


何往復目かのアナウンスが流れる中、ふと隣のレーンを走る乃愛に目を向ける


「……っ、……っ、……」


乃愛の呼吸は、まだ序盤だというのに、信じられないほど荒くなっていた


肩が激しく上下し、いつもなら綺麗な黒髪が、大量の汗で額や首筋に張り付いている


何より異常だったのは、その顔色だった


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